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AI推論チップのGroqが欧州データセンター開設 “スピード”でNVIDIAに挑む
2025年7月14日 11:26
スピードと経済性を武器に、利益率が低い市場に挑む
AI向けGPUで他を圧倒するNVIDIAは、7月に入って時価総額が一時、4兆ドルの大台に乗るなど、勢いが衰えない。だが、AIチップの主役は、当初の訓練用から推論用に移りつつある。これを強みとするGroqはNVIDIAへの有力な挑戦者として注目されている。
Ross氏は、高価なコンポーネントを必要としない点も、NVIDIAに対する優位性だとCNBCに述べている。NVIDIAのGPUは高価な高帯域幅メモリーに依存しており、その需給は世界的にひっ迫している。供給元はSK HynixやSamsungという韓国メーカーが中心で、年内分は予約で完売しているという。
一方、Groqのアーキテクチャは内蔵SRAMを使用するためサプライチェーン問題の心配はない。また、製造プロセスも14ナノメートルという"枯れた"技術で安価に量産できる。「われわれのコンポーネントは供給が限られているわけではない。推論市場は大量生産で利益率が低いため、これは重要なことだ」とRoss氏は言う。
その戦略は、NVIDIAの「高利益率訓練市場」との棲み分けを図るというものだ。
Ross氏はこう続ける。「われわれがNVIDIAの株主にとって好都合である理由は、大量生産だが利益率の低いビジネスを喜んで引き受け、他の企業が利益率の高い訓練分野に集中できるようにするからだ」
開発者の獲得も好調だ。2024年に開始した開発者プラットフォーム「GroqCloud Developer Console platform」には、4カ月で28万2000人が登録したという。Hugging Faceとの統合も、開発者への訴求ポイントとなる。
それでもAI推論市場の競合は激化している。SambaNova、SoftBankが買収手続き中のAmpere、Cerebras、Fractileなど複数のスタートアップがしのぎを削る。クラウド大手もいる。AWSは生成AIサービスのAmazon Bedrockを、GoogleもVertex AIを提供している。
Groqの“スピード革命”は市場をつかむことができるだろうか。