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「Slack」がプラットフォーム戦略強化 いま注目の企業向けメッセージ

アプリとプラットフォーム「王道のビジネスモデル」

 Slack Fundをはじめとする一連の施策の狙いは、プラットフォーム戦略の強化だ。AppleがiPhoneで構築した「プラットフォームとアプリエコシステム」というビジネスモデルは、Google、Facebookなどもそれぞれの分野で行っており、インターネットベンチャーにとって重要なものとなっている。

 Wall Street Journalによると、Slackは6月、Twitterのプロダクトディレクターを務めていたApril Underwood氏をプラットフォーム担当トップとして招き入れた。SlackのCEO、Stewart Butterfield氏は「(Slack Fundは)典型的なシード段階に対する投資になる。だが、将来的にはより大きな金額を投資する可能性もある」とre/codeに語っている。投資の目的はリターンというよりも、「Slackプラットフォームをもっとパワフルに、使えるものにするための取り組みを加速する」ことという。

 こうした戦略について、TechCrunchは「エンタープライズ向けのソーシャルとコラボレーションのハブとなるためのマスタープランに乗り出した」と解説。Wall Street Journalはプラットフォーム戦略について「スマートフォンに多くの時間を費やす本当の価値、Appleの時価総額が跳ね上がっている理由はアプリだ」というAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーJohn O’Farrell氏の見解を紹介している。

 Slackなどの企業向けコラボレーション分野はじわじわと盛り上がりを見せている。折しもライバルとされるオーストラリアのAtlassianはSlackがプラットフォーム戦略を発表した前の週にIPOを実現。初日の株価は32%増となり、成功と評価されている。

 Wall Street Journalは、Atlassianのほか、Google、Microsoft、Salesforce.comなどをSlackの競合に挙げている。Cisco Systemsも春に「Spark」というコラボレーションサービスを発表したところだ。だがベンチャー同士のためか、SlackとAtlassianを取り上げて比較するメディアが多い。例えばThe Registerは、Atlassianが11月に「HipChat Connect」を発表したことに触れている。これは同社のチャットサービス「HipChat」と統合できるツールで、HipChat Connectアプリのアプリストアも展開する。

(岡田陽子=Infostand)