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Firefox OSスマートフォンに終止符 立ち位置を模索するMozilla

Androidの牙城は崩せず

 だがMozillaのもくろみは外れた。PC Worldはその失敗の原因について「アプリ開発者がもっと熱心に(Firefox OS)プラットフォームを受け入れる必要があった」と分析する。「HTML5は標準」というMozillaの主張に対しても、「理論上は、すべてのHTML5ベースのWebアプリがFirefox OSスマートフォン上で動く。それでも、アプリはジャイロスコープやカメラなどハードウェア側の機能を利用するには細かな調整を施す必要がある」とした。

 低い価格設定も武器にはならなかった。Googleも2014年に「Android One」を発表し、インドなどで展開している。2014年に発表した最低25ドルで作成できるFirefox OSのリファレンスモデルも、実際には、あまり需要がなかった、と今年に入ってMozillaも認めているという。

 Firefox OSが市場にインパクトを与えなかったことは数字が物語っている。IDCの調査によると、2015年(予測ベース)のAndroidのシェアは前年比9.5%増の81.2%、iOSは同17.3%増の15.8%となり、両OSで97%を占めるという。ナンバー3のポジションが固定化した「Windows Phone」は前年比10.2%減の2.2%。その他はさらに下がり、わずか0.8%(16.8%減)の見込みだ。

 「その他」の地位はますます低下し、Jollaは少し前にリストラを発表していた。The Registerは「Androidの代替を目指す、いくつかのLinuxベースのモバイルプラットフォームの中で、Firefoxが最も強いポジションにあった」とする。そのFirefox OSがスマートフォンから撤退となると、ここからAndroidとiOSの牙城を崩す者はもういないだろう。

(岡田陽子=Infostand)