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HP撤退、Oracle本格参入…… パブリッククラウドの波乱

Oracleの本格参戦、敵はAmazon

 パブリッククラウドには大きなチャンスがある――。Oracleもそう考えている。同社は10月25日~29日に開催した年次イベント「Oracle OpenWorld 2015」で、新しいIaaSサービスを打ち出し、エンタープライズ顧客を狙ったパブリッククラウドに注力する方針を発表した。Oracleは2011年にパブリッククラウドに参入したが、これまでそれほど熱心ではなかった。

 会長兼CTOのLarry Ellison氏は基調講演で、クラウドコンピューティングですべてが変わったと語った。そして競争相手は、SaaSではSalesforce.comとWorkday。PaaSではMicrosoft、Salesforce、Amazon。IaaSではAmazonと位置づけた。特にAmazonをこれからのターゲットと明言。AWSを思わせる新IaaSサービスを発表した。一方で、20年来の最も大きな競争相手だったIBMとSAPはもはや注意を払う相手ではなく「(IBMもSAPも)クラウドの中では何でもない(nowhere)」と切り捨てた。

 どうやってOracleは市場を攻略するのだろう。Ellison氏は、自動化によるコスト低減、ハードウェアとソフトウェアレイヤーのセキュリティ新機能などを挙げたが、ライバルに対抗するカギは、AWSやAzureのような大型データセンターの世界展開ではないとNew York Timesは伝えている。

 共同CEOのMark Hurd氏はNew York Timesのインタビューで「より高い利益率」を強調した。Hurd氏によると、Oracleは既に20のデータセンターの増築を完了しており、自社ハードウェアの活用、コア製品の迅速なアップデート、アプリケーションの新しいカスタマイズ方法、若い新しい販売部隊などを武器にする。「ローカルな市場や製品に合わせ、顧客がカスタマイズできるソフトウェアを大規模に販売することで、より高い利益率を達成する」と述べている。

 具体的な展開は今後の推移を見なければならないようだ。Oracleは「2025年には事実上すべての企業データはクラウド上に保存されている」と予測する。そのときの業界地図はどうなっているのだろうか――。

行宮翔太=Infostand