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PC事業とエンタープライズ事業へ、分社するHPの行方は

分社化で問題は解決するのか

 分社化そのものにはどうだろう。現状よりはよくなるとの消極的肯定が多い。Motley Foolは、Palm、3Com、Autonomy、EDSなど、HPが買収に538億ドルを費やしてきたことを指摘しながら、「願わくば、マネジメントのミスと残念な業績が続いた状態を終わらせることができれば」とする。Guardianも、分社化のメリットとして「数多くのアイデアをつぶしてきた巨大な企業構造から逃れることができる」と改善を期待する。

 だが、Constellation Researchの設立者で業務ソフトウェア分野を得意とするアナリスト、Ray Wang氏は悲観的だ。「サプライチェーンのシナジー効果、研究開発のシナジー効果を失い、IP(知的財産権)も失う。現在、投資家に人気のベンチャー企業は組み込みデバイス分野であり、分社化のタイミングとして適切ではない」とPC Worldにコメントしている。

 Whitman氏にスポットをあてたNew York Timesは、創業75年のハイテク業界では古参のHPで、Whitman氏には「ノスタルジー」や固執がなく、革新をもたらすには適役だとする意見を紹介する。一方、Whitman氏がSkypeとPayPalの買収などによってeBayを成長させた手腕を持つものの、分社化がHPの問題を解決するわけではなく、その問題を分割するだけだと論評している。

(岡田陽子=Infostand)