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PC事業とエンタープライズ事業へ、分社するHPの行方は

 Hewlett-Packard(HP)がPCとプリンター事業、エンタープライズ事業を分割し、2つの独立した企業になる計画を発表した。これによって売上高500億ドル級の大企業が2社誕生することになる。分社化による勝算は? また時を同じくして、Symantec、eBayなどハイテク企業で分社化の動きが相次いでいるが、これは何を意味しているのだろう。

3年前の分社化計画が実現

 HPは現在PSG(パーソナルシステムグループ)の下で展開するPCとプリンター事業、またサーバー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェア、クラウドなど企業向け事業を、それぞれHP Inc、Hewlett-Packard Enterprise(HPE)として分社化する計画を10月6日に発表した。

 CEOであるMeg Whitman氏は分割後、HPEのCEOに就任し、HP Incの取締役会長も兼任する。HP IncのCEOには、プリンター部門執行バイスプレジデントを務めるDion Weisler氏が就任する。取締役会の最終承認などの手続きを経たのち、2015年10月までの完了を見込んでいる。それぞれの直近の売上高は、HP Incが559億ドル、HPEは582億ドルで、Fortune 500に入る大企業が2社生まれることになる。

 PC事業の切り離しという分社化計画は、3年前にも浮上した。当時CEOだったLeo Apotheker氏が提案したが、取締役会の猛反対に遭った。Apotheker氏はエンタープライズとソフトウェアにフォーカスするため行ったAutonomyの買収で大きな損失を出したことを受けて退任。その後を継ぎ、“分離”から“1つのHP”へかじを切り直したのがWhitman氏だった。

 こうした経緯から、「なぜ?」という疑問がでてくる。プレスリリースでWhitman氏は「この3年間の作業を通じて、コア事業を大きく強化できた。急速に変化する市場がもたらすチャンスを積極的に追求できるレベルになった」と説明している。つまり、「準備が整った」というのがWhitman氏の答えだ。

(岡田陽子=Infostand)