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ポストIPO戦略の鍵はクラウド? 中国EC企業Alibaba

規模のメリット

 Alibabaのクラウド強化は戦略的にみても業界の流れという点からももっともなものと言えるが、果たしてAmazonがAWSで成功したように、AliCloudがAlibabaの戦略に貢献するのだろうか?

 INVESTOR'S BUSINESS DAILYは、Amazon(AWS)、Google、Microsoftの3社のクラウド事業と比較した財務アナリストのコメントを紹介している。それによると、Amazon、Google、Microsoftの3社はあらゆる競合という点で「数年先」リードしており、Alibabaは米国企業の歓心を得るためにまず「巨大なデータセンターインフラを米国内に立ち上げる必要がある」と指摘する。また、サービスの信頼性、データへのアクセスが低遅延で実行できることを示さねばならない、と技術面の課題も挙げる。

 VentureBeatは先述のクラウドストレージGokuaiについて、資本参加ではなく買収してファイル共有サービスを提供する方が、米国など中国外企業の歓心を得られると予想する。やはり、Amazon、Google、Microsoftを引き合いに出しながら、「3社は規模の経済に到達しており、BoxやDropboxなどのベンチャー組を脅かしている」とし、Alibabaもサーバーとストレージなどに投資して規模のメリットを得られるインフラ整備を進めることが重要とした。

 なお、VentureBeatによるとAmazonは中国でクラウドサービス提供の準備を進めているという。であれば、なおのことAlibabaにとってAliCloudの事業確立と拡大が急務となる。

 IPOの後にしぼんでいった会社も少なくない。Alibabaの拡大戦略、そして非米国企業がどれだけ米国ベースの世界大手に対抗できるのかという点でも興味深い。

岡田陽子=Infostand