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ポストIPO戦略の鍵はクラウド? 中国EC企業Alibaba

拡大戦略の鍵を握るクラウド

 IPO後、事業を分野とエリアの両方で拡大・多角化することはAlibabaにとって重要な課題となっている。公開企業となった現在、電子商取引(EC)など既存事業だけでは、アナリストや株主を満足させる成長率を維持できない。また、中国では知名度が高いが、中国外では一般消費者の間の存在感は薄い。足元の中国市場を見ても、次々と立ち上がるネットベンチャーと戦っていかねばならないのだ。

 現在Alibabaの売り上げの80%以上がオンライン小売り関連だが、Bloombergは「Googleが検索から、Facebookが大学生向けのネットワーキングサイトから、それぞれ拡大したように製品とサービスの両方で成長を図るだろう」と予想する。インターネット企業を目指す戦略で重要なキーワードになりそうなクラウドについてみてみよう。

 Alibabaは2009年に「AliCloud」というクラウド事業を立ち上げている。当初はTaobaoやTmallなど自社サービスを利用する顧客に対して電子商取引に必要な機能を提供していたが、少しずつ外部の企業顧客も増やしており、顧客数はすでに140万に達しているとInternet Retailerはレポートする。VentureBeatは2013年末の顧客数を98万としていることから、1年足らずで42万も増えたと指摘。売り上げも好調で、AliCloudは同社の事業の中でも成長率が高く、2013年は前年比26.2%増で成長したという。それでも売上高は6億5000万人民元、Alibabaの中では1~2%を占めるにすぎない。

 AliCloudは既にコンピューティング、キャッシュ、データベースなどのパブリックインフラを持っているが、さらなるサービスを拡充中でデータマイニングと分析サービスの「Open Data Processing Service」の提供を開始したところだ。AliCloudは8月末、5番目のデータセンターを深センに立ち上げることを発表している。

 なお、BloombergはECからインターネット企業に転身するにあたって、戦略的買収がその重要な手段になるとして、買収の可能性がある企業リストを挙げている。若者層市場ではメッセージングのKik MessengerやSnapchat、インターネットTVではLions GateやRokuなどがあり、クラウドアプリケーション・インフラソフト分野としては、Red Hat、Rackspace Hosting、Akamaiの名前が挙げられている。

(岡田陽子=Infostand)