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クラウドを制するものがネットを制する クラウド大手値下げ競争

インターネットの覇権か、エゴの戦いか?

 クラウドの価格競争からメリットを得るのはユーザーだ。だが、選択肢が3つに絞られてしまうことが本当にメリットかどうかはまだ分からない。では、その価格競争はどこまで続くのだろうか。Amazonの3月末の値下げは、実に同社にとって42回目の値下げだ。「いつかクラウドの価格はゼロになるのか?」という問いについて、AWSのMatt Wood氏は「絶対にないとは言えない」と述べている。

 そうまでして戦う理由は何だろう? QuartzもNew York Magazineも「インターネットの覇権を得るため」と指摘する。「クラウドの戦いを制したものが、インターネットを制する」というNew York Magazineは「世界最大の企業らが利用するバックエンドのオペレーターとして、(クラウドの)勝者はネット中立性、データプライバシーといった問題に重要な影響を与える」と記している。Quartzは「収益性の見通しが分からないとすれば、クラウドの戦いは、世界最大のエゴの戦いではないか?」とも見る。

 インターネットは、電気のような公益事業にたとえられる。企業のデータのうちクラウドに移行しているのはまだ13%程度ともいわれており、先は長い。

岡田陽子=Infostand