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AppleがTeslaを買収? 次の“Big Thing”
(2014/2/24 10:32)
電気自動車メーカーとして注目のTesla MotorsをAppleが買収か――。今月中旬、ハイテク系メディアは、この話で色めき立った。1年近く前、Appleの買収担当トップがTeslaのCEOと密かに会っていたことが明らかとなり、大型買収、協業の可能性が浮上したのだ。投資家も業界もAppleの次の“Big Thing”に期待している。ともに技術やデザイン力で定評のある両社のドリームチームは実現するのだろうか。
共通点が多いTeslaとApple
発端は、San Francisco Chronicleが2月16日付で掲載した記事だ。「Apple Exploring cars, medical devices to reignite growth(成長に再び着火すべく自動車、医療分野を探るApple)」というタイトルで、次の“Big Thing”を模索するAppleをレポートしている。
その中で、消息筋からの情報として、Goldman&Sachs出身のAppleの買収担当トップ、Adrian Perica氏が2013年の春、本社クパチーノにTeslaの創業者兼CEO、Elon Musk氏を呼び、会合を持ったと報じた。AppleのCEO、Tim Cook氏も参加していた可能性があるという。
「メガ取引はまだ表面化していないが(Appleは巨額の現金を持っているが、評価では厳しい)、シリコンバレーの巨人である2社がこのようにトップのディールメーカーを入れてハイレベルのミーティングを持ったことは、Appleが電気自動車のパイオニア(=Tesla)取得に大きな関心を持っていることを裏付けるものだ」と記事は予想する。
記事はまた、その半年後の2013年10月に、ドイツの投資銀行BerenbergのAdnaan Ahmad氏がCook氏と、取締役であるAl Gore氏に送った公開書簡も紹介する。Ahmad氏は「かなり急進的で“変革的”であることは承知の上で」としながら、AppleがTeslaを買収することでAppleの成長戦略を大きく変えることができる、と買収を推奨。起業家やイノベーターとして高い評価を得ているMusk氏についても、Appleのイノベーションを進める新しいアイコン的なパートナーを得られると記している。
San Francisco Chronicleは、両社の相性も良さも指摘する。両社は、高い技術力とスタイリッシュかつユーザーフレンドリーなデザインを武器にブランドを確立しており共通点が多い。ともにシリコンバレーのイノベーションのシンボルでもある。また、TeslaにはApple Storeの立役者George Blankenship氏を起用(2013年末に退社)するなど、Appleからの人材がいる。Teslaは2013年10月末にも、Macハードウェア幹部Doug Field氏をAppleから引き抜き、新車開発を率いる車両プログラム担当副社長に迎え入れたことが話題となった。
こうしたことから、両社の組み合わせは、業界が異なるものの、それほど的外れではないとする。唯一、疑問点として挙げているのが「(Appleに買収されることで)Teslaが何を得るのかがわからない」という金融アナリストのコメントだ。このアナリストは「(Teslaに)資金が必要なら、すぐにでも金融機関にアクセスできるだろう」と否定的な見方を示した。
San Francisco Chronicleはこの買収の結果として、Appleのロゴが刻印されたTeslaのダッシュボードに大規模なタッチ画面が搭載されるなどの可能性があるとしている。
TeslaはSan Fransico Chronicleの記事が登場した数日後に業績報告を行った。Bloomberg TVの電話インタビューに登場したMusk氏はAppleとの会合を認めながらも、それ以上のコメントは避けた。