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中国を制するネット3強 熾烈な戦いが金融分野へ (リードするAlibaba)

リードするAlibaba

 3社は、それぞれ別の分野で成長してきたが、買収や提携などで補完する領域を取り込み、広範囲の事業をカバーする企業グループを形成している。さらに、金融分野に進出しようというのが、今の構図だ。

 ECサービスで、もともと金融分野に強いAlibabaは、「Alipay」(支付宝)というオンライン決済サービスを持っている。Alipayは、Taobaoなどで使われるオンライン決済サービスだが、国際決済にも対応し、海外展開も進められている。

 Next Webによると、現在、毎分2万5000トランザクション、1日200億元(約320億円)超の取引額を処理しており、中国の電子決済のほぼ半分を占めるという。Alipayは、さらにシンガポール、マレーシアなどに展開しており、NextWebは“東洋のPayPal”と呼んでいる。

 Alibabaは今年6月、Alipayのプラットフォームを活用した金融サービスを発表した。投資信託や政府債などに1元単位で投資できるのが特徴で、年間利回りは3-4%という。つまり、Baiduはこれに対抗して、「8%」という相当に高い利回りをぶつけてきたわけだ。

 さらにAlibabaは今月上旬、この金融サービスを担当するファンドマネジメント会社、Tian Hong Asset Management(天弘基金管理)に、Alipay部門を通じて11億8000万元(約190億円)を出資。同社の株式の51%を取得したと伝えられている。

 なおNew York Timesなどによると、Alibabaは米国でのIPOを準備しており、公開すれば企業価値は750億ドル以上になるとの予想もある。昨年、株式公開したFacebookの812億ドルに次ぐ、大型IPOということだ。同社は、この資金をさらにM&Aに投じて、グループの強化と拡大を図るとみられている。

(行宮 翔太=Infostand)