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セキュリティの「Copilot」発表 AIを急ピッチに展開するMicrosoft

AI機能を売り上げ増に

 Microsoftにとって、セキュリティは比較的新しい分野だ。2005年にベータ版をリリースした「Windows AntiSpyware」(Windows Defenderに改称)が参入と言える。その後拡大を続け2022年セキュリティ事業の売り上げは200億ドルに到達した。その1年前、2021年の売上高は100億ドル規模で、「他の主要な製品を上回る成長率」と当時のCNBCは報じていた。

 今回のSecurity Copilotでいち早くGPT-4を採用して、競合優位に持っていく狙いが垣間見える。IDCのグループバイスプレジデント、Frank Dickson氏は「Microsoftが、Security Copilotを有効にするにあたってSentinelなどMicrosoftのセキュリティ製品を使うことを要求するのであれば、購買決定に影響を与える可能性が高い」とCNBCにコメントしている。

 Microsoftとしては、攻撃者のAI武装に先んじる必要性を強調している。Kawaguchi氏は「最も重要なこととして、防衛する側ができるだけ早期にジェネレーティブAIの恩恵を受けられるようにすること」とWiredに語る。「攻撃者がAIを使うことを考えると、防御側にAIを装備する必要がある」(Kawaguchi氏)。

 こうして、MicrosoftはOpenAIとの協業で手にしたAIを統合しているが、並行してマネタイズも確実に進めている。

 Security Copilotの発表翌日には、Bing Chatに広告を取り込むことも発表。さらには、Bingパートナーへの検索データの値上げも発表した。

 検索サービスにはWebのインデックスが欠かせないが、これを行っているのはGoogleとMicrosoftだけだ。Googleはそのデータを提供しておらず、小規模な検索サービスは皆、Microsoftのデータに頼っている。

 Microsoftはそのデータを提供するBing Search API料金を5月から、5~10倍に値上げする。Bingパートナーの中からは反発する声も出ているが、Microsoftは「Bing改善の投資が拡大しているため」と説明している。