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相次ぐ幹部流出 Salesforceの不協和音

企業“家族”カルチャーの衰退

 Salesforce内部では緊張状態が続いているようだ。匿名の現社員、元社員に取材したBusiness Insiderの記事からは、共同CEOモデルの問題、営業へのプレッシャーなどが見えてくる。

 共同CEOは機能不全だったようだ。Business Insiderによると、Benioff氏はTaylor氏のやることに干渉し、Taylor氏の部下に、自身にも報告するよう求めていたという。

 「2人は互いの領域に入り、互いにじゃましていた。決まったレーンで泳いでいなかったし、業績は良くなかった。これら全てが重なり、Taylor氏が出ていくことになった」とBenioff氏に近い筋は話している。

 Salesforceの共同CEOが辞任するのはこれで2度目だ。最初のKeith Block氏はCOOを務めた後、2018年に共同CEOとなったが、1年半で辞任した。この時もBlock氏とBenioff氏の意見の対立があったという。

 Taylor氏の場合、収益性重視のTaylor氏と成長重視のBenioff氏という考え方の違いがあったようだ。さらに、Taylor氏固有の事情として、同氏がTwitterの取締役会長を兼任していることも関係したようだ。この数カ月はTwitterにとっても激動の時期であり、Taylor氏は疲弊しているという。

 営業へのプレッシャーはどうだろう。営業支援ツールを売る会社だけあって、Benioff氏の営業へのプレッシャーは大きい。11月は業績の芳しくない営業担当者が多く解雇された。営業担当は出社や、休暇中の対面ミーティングも求められているという。

 こうした社員の声を伝えながら、Business Insiderは、Salesforceの「Ohana」(ハワイ語で“家族”)と呼ばれる企業カルチャーが、「指標と営業目標という無慈悲な優先順位付けに入れ替わってしまった」と記している。

 Taylor氏の辞任にあたってBenioff氏が社員に送ったメモには、こう書かれていたという。

 「かつてないほど、営業チームを全社協力してサポートすることにフォーカスし、素晴らしい第4四半期を実現しなければならない。これが最優先事項だ」