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Microsoftがライセンス規約改訂 クラウドへのソフトウェア持ち込みを柔軟に

大手競合は除外、運用に懸念も

 反応はどうだろう。訴えたクラウド事業者から即座のコメントは出てないようだが、AWSやGoogle Cloudは猛反発している。

 AWSの広報担当はReutersに対して、「直面する競争を逃れる不公正な試みで、さらに多くの制限を課し、有害な慣行を強化するものだ」とコメント。また、Google Cloudの政府機関・ポリシー担当バイスプレジデントMarcus Jadotte氏は「(クラウドで)顧客はプラットフォームを自由に行き来し、Microsoftにとって最適ではなく、自身に最適なテクノロジーを選べるはずだ」とツイートで言及した。

 実は、Microsoftは2019年のライセンス変更で、「Listed Provider」という通常ライセンスから除外されるクラウドプロバイダーのリストを設定している。「Alibaba、AWS(VMware Cloud on AWSを含む)、Google、Microsoftが提供する専用ホストによるクラウドサービス。および、これらをアウトソーシングサービスの一部として利用するアウトソーサー」だ。

 つまり今回のライセンス変更では、AWSもGoggle Cloudも蚊帳の外で、恩恵は受けられないのだ。

 またMicrosoftは、SPLA(Services Provider License Agreement)についても条件を変更し、Listed ProviderのデータセンターでSPLAライセンスをアウトソースできる機能を削除するとしている。

 欧州のクラウド事業者団体CISPEは、Microsoftの発表に対する声明を発表。「Microsoftのブログの多くは曖昧で解読が困難。実例がなく、追加のライセンスコストや義務が適用されるか判断できない」とライセンス条項の分かりにくさを批判した。

 また、Listed Providerを除外している点についても、「いまはAlibaba、AWS、Googleだが、他の企業がMicrosoftの支配を脅かす存在になった時、追加への何の制限もない」と恣意的な運用を懸念している。なお、CISPEにはAWSもボードメンバーとして参加している。

 MicrosoftウォッチャーのMary Jo Foley氏は、Listed Provider以外の顧客にフォーカスしたものだと評し、「顧客の中核の懸念に対応していない」と述べている。

 そして、Directions on MicrosoftのアナリストWes Miller氏の以下の見解を紹介している。「一部のプロバイダーには良いニュースだが、Amazon、Google、Alibabaの3プロバイダーとその顧客にとっては、複雑さと制限は何も変わっていない」