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ウクライナのサイバー戦争 ロシアの侵攻の裏で

サイバー攻撃にさらされ続けてきた

 米国の外交専門誌The National Interestによると、ウクライナは過去20年間、サイバー空間での絶え間ない攻撃にさらされ続けてきた。

 2005年のトロイの木馬「Turla」や、2013年の「スピアフィッシング」キャンペーン、2014年大統領選挙時の選挙システムへの攻撃などだ。最近も、2021年1月から10月までの間のサイバー攻撃が28万8000件超だったとウクライナ政府は述べている。

 The National Interestは「ロシアは長年、(ウクライナなどの)周辺の小国を訓練の場としてサイバースキルを磨いてきた」と言う。米英のような世界トップのサイバー強国を相手にする前に、スキルアップを図ってきたとの解説だ。

 そして、今回の紛争では「世界中のサイバー攻撃者が、ロシアの用意したサンドボックスに集まって、最悪の事態を迎えている」とも述べている。

 ウクライナ政府も、この混乱の中でサイバー戦への対応強化を図っている。2月24日付のReutersは、政府が国内のハッカーからボランティアを募っていると伝えた。専門のサイバー部隊を持たないゆえの苦肉の策のようだ。

 活動に参加するというハッカーのYegor Aushev氏によると、活動は防御と攻撃の二手に分かれる。防御では電気や水道などのインフラへの攻撃に備え、攻撃ではウクライナ軍のサイバースパイ活動を支援する計画という。

 Aushev氏によると、24日の段階で数百人の応募者があり、これから政府の審査が始まる予定だ。ただ、Aushev氏は、ウクライナのサイバー軍構築の取り組みは遅すぎた、と考えているという。