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2021年のクラウド市場は大幅成長 3強に揺るぎなし

マルチクラウド化はAWSにマイナス影響なし

 このところのクラウド業界のトレンドであるマルチクラウドはどうだろう。Reutersは、調査結果から、マルチクラウドはAWSにネガティブな影響を与えていないと分析。大企業などでリスク管理としてマルチクラウドアプローチをとる動きがあるが、そんな中でも「AWSのクラウド事業の業績は好調」と述べている。

 GartnerのアナリストでバイスプレジデントのSid Nag氏は「マルチクラウドとは、複数のクラウドに予算を分配することではない。マルチクラウドでも、ほとんどのビジネスをプライマリークラウドで動かすことになる」とコメントしている。

 Nag氏が例に挙げるのが、早期にクラウドを採用した金融機関のCapital Oneだ。同社は当初、AWSでサービスを運用していたが、あわせてGoogleとAzureも採用した。ただし、あとの2社のクラウドは特定用途向けで、メインのAWSの利用も減少せずに拡大しているという。

 Reutersは「マルチクラウドの複雑性」という短所が、AWSには有利に動いているとも見る。Hashicorpの取締役Sigal Zarmi氏は、小規模な企業やクラウドを初めて利用する企業は、ベンダーを1社に絞る傾向が強いと述べている。

 AWSは2021年にセールスチームを強化。データセンターも増設している。Amazonが2月に発表した2021年第4四半期の決算では、AWSの売上高は前年同期比40%増の177億8000万ドル。クラウドが売り上げに対して占める比率は13%だが、営業利益では74%を占めるビジネスになっている。