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大手もベンチャーも続々参戦 短編動画投稿サービスの活況

ライバル台頭の間も、米国TikTokは先行き不透明

 短編動画に賭ける起業家もいる。Zash Global Media and Entertainmentは2月23日、シンガポールのLomotifを傘下に収めたと発表した。Zashは、劇場で映画見放題になる“映画館サブスクサービス”MoviePass(2019年に破たんして終了)の会長を務めたTed Farnsworth氏が共同創業した会社で、「TikTok、Trillerに対抗」を狙う。

 「Lomotifは過去3年間、動画共有ソーシャルネットワーク・プラットフォームのカテゴリで最速で成長している。この間に、アジア、欧州、南米で、平均月間コミュニテイは400%以上増加した」とZashは発表で述べている。

 Zashには、TikTokの前身であるMusical.lyの早期投資家Jaeson Ma氏、短編動画サービスTrillerでビジョナリーと役員を務めたVincent Butta氏がいる。金額は公開していないが、Bloombergは消息筋情報として出資額は1億2500ドルと報じている。

 Farnsworth氏は、米国での存在感を強化すべく、リアリティTVやスポーツなどオリジナルコンテンツも増やすと、Los Angeles Timesのインタビューに答えている。

 活況の短編動画だが、元祖TikTokの米国展開は、なお先行き不透明な状況だ。

 Trump前大統領は、米国のTikTok事業を禁止する大統領令を出し、事業運営をByteDanceから分離して米国内企業に移すよう求めた。TikTokが持つ米国のユーザーのデータが中国政府に利用されることへの懸念からだ。

 その後、米国側はOracleとWalmartが取得する方向で議論しているが、ByteDance側は異議申し立てなどで抵抗している。

 2月10日付のWall Street Journalによると、Biden新政権は方針の見直しを進めており、この強制売却の計画は棚上げにする。「米国が直面している脅威全てに対応するために、データの保全に対する包括的なアプローチを作成する計画」(米国家安全保障会議報道官)としている。

 これには、今後数カ月かかり、個別事例の審査はそのあとになるという。TikTok問題の決着は、まだ先になりそうだ。