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迷走するFoxconnの米国工場計画 ウィスコンシン州と平行線

爆弾レポート

 Foxconnは今年夏、最初の補助金を申請した。適用条件である「2019年までに550人の雇用」を満たしたと報告したが、州側は調査の結果、実際の雇用者数は281人に過ぎず不適格であると結論。10月12日の通知となった。当初の計画では、同社が2019年末までに2080人を雇用し、33億ドルを投資することになっていた。

 その1週間後の10月19日、The Vergeが、プロジェクトの迷走ぶりを暴露するルポを掲載した。Foxconnの19人の元従業員、両サイドでプロジェクトにかかわった数十人への取材や、公開・非公開のさまざまな関連文書を入手して調べ、「ほとんど全ての約束が守られていない」と結論づけている。

 The Vergeが報じた隠された事実とは、以下のようなものだ。

 ▽建設された建物は、当初の計画の約20分の1の大きさだが、中身は空っぽ。さらに同社は今年9月、建物の用途を製造から倉庫へ変更する許可を得た。▽製造はほとんど行われていないが、最近、サーバ用の小さな組み立てラインを稼働させた。▽従業員の雇用は非常に少なく、昨年末に州からの補助金を受け取るため必要とされる人数を雇用したが、彼らの仕事は実は全くなかった。その後、解雇された――などだ。

 The Vergeによると、Foxconnは表向き、液晶工場の計画を進めているとしながら、2018年の早い段階から事業計画を再検討していたという。その案の中には、倉庫の貸し出し、ミシガン湖の水での魚養殖、アイスクリームの輸出、ボートの保管などがあり、「破たんしたプロジェクトからなんとかして金を生み出そうと、ますますシュールな探求に進んでいった」という。

 また、プロジェクトに対する地元の負担の大きさも指摘。州やその下の地方自治体は土地やインフラを中心に少なくとも4億ドルを費やしており、施設建設で、住民の家が何十棟も土地収用を受けて壊されたという。