Infostand海外ITトピックス

クラウド後発のOracleが盛り返し? マルチクラウド管理にも参入

Oracleのクラウドは「ニッチ」

 Moor Insights & Strategyのアナリスト、Patrick Moorhead氏はForbesへの寄稿で、「チャレンジャーと思っていたOracleが、いまではクラウドの契約を次々と勝ち取っている」と記す。Moorhead氏は、クラウドにおけるOracleの強みを「幅と深さ」とし、特にコロナ禍でこれが重視されているという。

 またMoorhead氏は、OracleのSaaSが10年がかりで共通のデータモデルを持つスイートを構築してきた点を高く評価して、こう述べている。「買収した技術でスイートを構築するのは難しい。共通のデータモデル、ワークフローエンジンがないために統合が難しいからだ。だが、これこそが同社のスイートを価値あるものにしている」

 こうしたOracleのやり方にならい、WorkdayやSalesforceも同様の戦略をとっているという。

 一方、CNBCはGartnerのレポートを引用。クラウドでのOracleのシェアは2%で、「ニッチ」にとどまっているとする。調査会社RBCの予想でも、Oracleのクラウド事業の売上予想は2023年で10億ドルだが、AWSは2020年前半で既にその20倍超の210億ドルとなっている。

 CNBCはOracleの売り上げのほとんどが、現在でもDBとその関連サービスであることを指摘しながら、「Oracleは成長を必要としている」と言う。そのデータベース事業は前四半期、前年同期比2%増にとどまっている。

 Gartnerでクラウドインフラを担当するアナリスト、Raj Bala氏はCNBCに対し、Oracleがクラウドで機能や容量の追加を急いでいることを認めながら、「Oracleの大きな問題は、(市場に)汎用向けサービスと見られているかどうかだ」と言う。

 とはいえ、Oracleの勢いは大きな可能性がある。元OracleのCCO(最高コミュニケーション責任者)でアナリストのBob Evans氏は、Oracleが戦略を確実に実行している点を評価する。そして、9月に発表した決算で、Ellison氏とCatz氏が「まだ始まりの始まりに過ぎない」と述べたことを挙げながら言う。「Oracleの競合は、この言葉に注意しておくべきだ」