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「TikTok」逆風でSNS業界が混戦 米中対立エスカレートの中
2020年8月3日 11:46
人気の動画共有アプリ「TikTok」に逆風が吹き荒れている。15秒動画で人気が爆発し、8億人のユーザーを抱えると言われるTikTokだが、米中対立の中で「利用禁止」を突きつけられた。そして、このタイミングで、ソーシャル大手Facebookが、自社の新サービスへの乗り換えを働きかけていることも分かった。SNSの主戦場となった動画サービス市場の激変を予感させる。
2年目にしてソーシャル動画市場を席巻したTikTok
「InstagramがTikTokのクリエーターに対して高額のオファーを提示し、自社の新サービスへの参加を促している」。7月28日、Wall Street Journal(WSJ)がこう報じた。Facebookは傘下のInstagramの動画サービス「Reels」を開発中で、ローンチに当たってTikTokの有名クリエーターの獲得を狙う。クリエーターによっては、提示額が数十万ドルにのぼるという。
Instagramの広報担当者はWSJに対し、「Reelsについて、現在サービステスト中の複数の国で活躍するさまざまなクリエーターにアプローチした」「クリエーターと体験の両方にコミットしている」とコメントしている。
TikTokは、15秒の動画を作成して共有するソーシャルサービスだ。再生はループで繰り返され、複数をつなぐことで、1本を最大60秒にすることもできる。元々はMusical.lyという上海のサービスに遡る。このMusical.lyを2017年に10億ドルで買収したByteDance(北京字節跳動科技)が、翌年に再ローンチして、TikTokとした。
Musical.ly時代よりも時間が長くなり、音楽だけでなくあらゆる内容を扱うようになったことでTikTokは大ブレークした。ダウンロード数は20億回に達しており、世界に8億人のアクティブユーザーがいると言われている。ByteDanceは、中国向けには「Douyin」(抖音)という名称で展開している。
そのTikTokに対して、包囲網が形成されつつある。ユーザーの個人データが中国政府に悪用される懸念があるとの理由から米国内の使用を禁止する動きが出てきた。中国企業は命令があれば、自国政府にデータを提供しなければならないという同国の「国家情報法」がその根拠だ。米国では既に、政府職員のTikTok使用を禁じる法案が審議に入っている。
一方、インドでは国境地帯の戦闘で軍に死傷者が出たことから反中感情が高まり、政府が6月29日、TikTok、WeChatなど約60の中国企業のアプリを禁じている。日本でも与党議員が制限を求める動きを見せている。