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Azureが「S/4HANA」の優先クラウドに SAPとMicrosoftが提携強化

Azureの戦略は全ソリューションのサポート

 MicrosoftとSAPの提携は理にかなったことと言えるが、メリットとしてはMicrosoftの方が大きいかもしれない。大規模なワークロードを抱えながらクラウドの行く先を探すSAPの大手顧客に対して“優先レーン”を用意できるからだ。

 Business Insiderは「SAPとの提携によって、MicrosoftはAzureに対して競合優位性を得ることになる」と指摘。そして、「普遍的存在」であるWindowsなどの製品によって、パブリッククラウドの競争で、ハイブリッドアプローチによる差別化が奏功したものだと分析する。

 また、Microsoftの提携戦略の巧妙さも挙げる。Microsoftは2019年6月、“宿敵”Oracleとも同じような内容で提携している。なお、SAPとの提携の方が、より深くより包括的、とMicrosoftはBusiness Insiderに説明している。

 こうしたMicrosoftの動きについて、Nucleus Researchのアナリスト、Ian Campbell氏は「Azureの将来は全てのソリューションをサポートすること」と述べ、「Microsoftはしっかりした動きをとっている」と評価した。

 SAPやOracleのように競合するアプリケーションを持つベンダーを遠ざけることでAzureの成長を阻止するよりも、接近して健全に戦うことは賢明だと続けている。

 提携がうまくいけば、SAPはクラウドを強化でき、MicrosoftはAzure事業をさらに拡大できる。業務アプリケーションの競争にも影響を与えそうだ。