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「仮想マシン」から「マルチクラウド」へ 変わるVMware

Dellグループの中のVMware

 マルチクラウドは、親会社のDell Technologiesにとっても重要であるようだ。

 「VMware、Dell、それに他のDell Technologiesメンバー企業は見解を共有しており、顧客がいつマルチクラウドに移行するのかをきちんと調べて展開している」。Dell EMCのインフラソリューショングループでマーケティング担当シニアバイスプレジデントのSam Grocott氏は、NextPlatformにこうコメントしている。

 オンプレミスで一時代を築いたEMC、PCとサーバーベンダーのDellを含むDell Technologiesにとって、戦略の要は、VMwareとPivotalだ、とNextPlatformは分析する。

 Dell EMCはVMworldの会期中、VMwareと共同開発したハイパーコンバージドインフラ(HCI)の「VxRail」の最新機種「VxRail G560」を発表するなど、VMwareとの連携を強調した。VxRailではVMwareのソフトウェアをリリースから30日以内でサポートすること、クラスタやマルチサイト実装を可能にする「VMware Validated Design(VVD)」も発表した。

 Grocott氏は、各種のマルチクラウドへのアプローチの中で、「さまざまなクラウドとの接続層となる統合されたターンキーアプライアンスを提供できる」とVMwareへの期待を語っている。VMworldには、Michael Dell氏も登場し、売り上げのシナジー効果などを強調した。Dell氏は今年、Dell Technologiesを再上場する意向を正式に表明している。

 そんな中でのGelsinger氏のかじ取りは注目に値する。ZDNetとのインタビューで同氏は、ソフトウェア事業運営でDell氏の信頼を得ていることを説明。Dell Technologiesが、AWSやIBMとの提携で得られる利益は「ほぼゼロ」だが、それがVMwareにとって戦略的に重要であることを取締役会で力説したという。

 「Michaelは応援してくれた。『VMwareにとって正しいなら、迅速に進めよ』と言った」とGelsinger氏は語っている。

 VMworld直前に発表した2018年第2四半期の決算は、売上高前年同期比13%増などアナリストの予想を上回る結果だった。IDCによると、クラウドシステム管理市場は、2018年に54億ドル、2021年には101億ドルと大きな成長が期待されている。その中で、VMwareは現在21%のシェアを持つトップベンダーだ。

 Gelsinger氏の見事なバランス技は、現時点では成功していると言える。