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クラウド開発プラットフォーム「Pulumi」 元Microsoftの開発者らが立ち上げ

「Midori」から学んだこと

 Pulumiを創業したのはDuffy氏とEric Rudder氏(共同創業者兼エグゼクティブチェアマン)の2人。ともに元Microsoft社員で秘密プロジェクト「Midori」にかかわっていたベテランだ。

 Midoriは、それまでのWindowsとは異なる、全く新しいOSの開発プロジェクトだった。MicrosoftウォッチャーのMary Jo Foley氏によると、OSを最初から書くだけでなく、ブラウザやツールなどを含む完全なソフトウェアスタックも含むプロジェクトだったようだ。

 開始時期ははっきりしていないがFoley氏がMidoriの存在を報じたブログは2008年。Duffy氏は2007年からとしている。最盛期には100人が開発にあたっていたというが、2012年から2014年の間にチームメンバーは他のチームへと異動したという。

 Duffy氏は2015年に自身のブログでMidoriを振り返り、「リサーチではよくあることだが、Midoriがどう進化していくのかわからなかった」としながら、オープンソースにしなかったこと、論文を多く出さなかったことの2つが反省点としている。

 「大企業の常として、Midoriの中核技術の運命についての意思決定は完全に技術主導ではなかったし、完全にビジネス主導でもなかった」とDuffy氏は記している。Pulumiではここでの学びを生かしたといえそうだ。

 Pulumiは最初からオープンソースビジネスを構築しており、ランタイムなど中核技術をオープンソースとして公開。有料の商用版を合わせて展開する。なお、Duffy氏はMicrosoftで、Midoriの後に.NET Coreのオープンソース化を手掛けた実績も持っている。「全ての開発ツールはオープンソースであるべきだ」(Duffy氏)との信念があるという。

 Pulumiは現在ベータ段階。Midoriの経験が生かされることを期待したい。