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クラウド障害の損害は大規模自然災害を超える 保険大手Lloyd'sが試算
2018年1月29日 11:23
サイバー空間と保険の間には、なお大きなギャップ
このレポート作成の目的は、クラウドのリスクを知らせるだけではなく、保険業界の対応を促すことにもある。「Lloyd's、規制当局、そして各保険会社の幹部も、こうしたサイバーリスクにさらされていることを理解するよう保険業界に求めている」とレポートは述べている。その上で「クラウドダウンタイムのシナリオ分析の結果から、保険会社のマネージャーが、サイバービジネスへの対応をコントロール下で慎重なやり方で成長させてゆくための洞察を得られるだろう」と結んでいる。
50ページ以上にわたるレポートでは、モデリングや全損害額の計算なども提供している。例えば企業固有のパラメーターとして、クラウドの利用、バックアッププラン、復旧などを見るものだ。
Lloyd'sのBeale氏はSouth China Morning Postに対し「大規模なサイバーリスクはいかなる形でも保険によるカバーがなく、大きなギャップがある。自然災害と同様に、ハッカーの攻撃やインターネットのダウンといったサイバー空間の事件は、企業と経済に深刻な影響を与える」とクラウド障害保険の重要さをアピールしている。
Lloyd'sは17世紀に開かれたコーヒーショップに起源がある。その店に集まった海運貿易業者や保険業者が情報交換や取り引きをするようになったことから、海上保険取引の中心地に成長。火災から自然災害など、あらゆる種類の保険を引き受け、世界を代表する保険市場となった。
そのLloyd'sが着目するのも、クラウドの成長ぶり故にだ。同時に少数のクラウド企業への依存がリスクになるという指摘も専門家からの警鐘として耳を傾けるべきだろう。IaaSをはじめクラウド事業者は寡占化の方向にある。