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「FaaS」「エッジ」「DX」 2018年のクラウド注目ワード

「デジタルトランスフォーメーション」の加速とPaaSの活発化

 元OracleのCCO(最高コミュニケーション責任者)でエンタープライズIT業界アナリストのBob Evans氏は、2018年の予想10件をForbesへの寄稿で発表。、AI、データ、プラットフォーム、セキュリティなどのキーワードの中から特に「デジタルトランスフォーメーション」(DX)を挙げた。同氏はDXが「キャズムを超え」、実現フェーズに入ると予想する。

 そのベースにあるのは、消費者の「デジタルライフスタイル」へのニーズの高まりだという。Evans氏は「生活、仕事、余暇、ショッピング、学習、旅行、投資で消費者はデジタルライフスタイルを望んでいる」「デジタルライフスタイルに向けた動きは始まった。もう後戻りすることはない」とした上で、その体験がデジタル化の中核となり、エンタープライズのクラウドが取り組みを加速するとしている。

 また、ふたつの要因から、PaaSのさらなる活発化も予想する。1つはSaaSベンダーによるPaaSの提供だ。例えば、2017年には人事クラウドのWorkdayがPaaS戦略を発表し、CRMのSalesforce.comも「Salesforce App Cloud」から「Salesforce Platform」へとプラットフォームをうたったブランドに変更した。

 もう1つはIaaS側からの動きだ。2017年は、AWS、IBMなどがそろってデータベースおよび関連サービスを強化した。 Evans氏は「クラウドアプリがメインストリームになっており、これまでは不可侵だったミッションクリティカル領域にも進んでいる。トップのクラウドベンダーは高レベルなプラットフォームサービスを提供するよう迫られている」と記している。

ベンダー間の競争・提携、そしてAmazonの存在

 Evans氏は、ベンダー間の競争で顧客のトランスフォーメーションの支援、対顧客でのデジタル体験の提供などが明暗を分ける要素になると考えている。同時に、これまで競合関係にあったベンダー同士が手を組むような提携戦略も重要になるとみる。

 そうした例として、MicrosoftとSAPの提携を挙げているが、2017年はGoogleとCisco、SalesforceとIBM、AWSとVMwareなどの提携が報じられた年だった。こういう提携は2018年も続きそうだ。

 そんな中でもAmazonの存在感は際立っている。Data Center Knowledgeは「成長ビジネスではAmazonとの競争は不可避」と分析する。「Amazonは重要なビジネスに必ず進出する」というもので、業界では「Amazonが進出しないなら、そこは重要ではない」とまで言われるようになっているという。