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1300億ドルの超大型買収提案 BroadcomとQualcommの事情

イノベーションを破壊する?

 この買収を違った観点から論評しているメディアもいくつかある。ユーザーやテクノロジー発展の視点から、好ましくないとの見方だ。

 Qualcommは米国の“イノベーションの巣箱”として基礎研究を積み上げてきた、とPCMag.comは評価する。そして、買収は同社の企業文化を破壊し、「イノベーションへの災厄」になると主張する。

 また、Moor Insights & Strategyの代表で人気アナリストのPatrick Moorhead氏も、Qualcommは“イノベーション・エコシステム”に重要な位置を占めていると指摘。株主向けに短期的な利益を狙った買収を繰り返してきたBroadcomとは対照的だ、とForbesへの寄稿で述べている。

 Moorhead氏は「BroadcomとTan氏が、企業を買収して最初にやるのは、切断し、刻み、捨てることだ。これはモバイルの世界全体に破壊的かつ長期的な影響を与えるだろう」「買収は、たとえ短期的に何人かの投資家に得をさせたとしても、長期的には、われわれ皆の損失になるだろう」と批判する。

 Bloombergなどによると、Qualcomm側は「企業価値を過小評価」しているとして拒否する構えという。そうなれば、敵対的買収になる公算が大きい。長い戦いになるかもしれない。