Infostand海外ITトピックス

Googleの大きな野望? 謎のOS「Fuchsia」

IoT向け開発が原点?

 今年2月、モバイルアナリストのDaniel Matte氏がブログで、「FuchsiaはAndromedaである」と報告した。Matte氏はソースコードを精査し、FuchsiaがIntelのNUC、ARM、x86、MIPSなど幅広いプラットフォームをサポートし、Androidアプリを動作させるAPIを備えていることを確認。これらがAndromedaに関する情報と一致していることから両者が同じものであるとの見方を披露した。「AndromedaはFuchsiaの最初のバージョンだったかもしれない」とも述べている。

 ArsTechnicaによると、Magentaプロジェクトは2016年2月に始まったので時系列でも矛盾はない。

 またMatte氏は「(Fuchsiaの)設計は、高度にスケーラブルなプラットフォームを作り出すことにフォーカスしている」と解説している。GitHubにあるドキュメントでも「(Magentaは)高速なプロセッサ、十分な容量のRAMを持つモダンなスマートフォン、モダンなパーソナルコンピューターをターゲットとする」と書かれており、幅広く利用できることを示唆している。

 当のGoogleはFuchsiaをめぐる騒ぎには沈黙を守っており、本当にAndroidの後継OSなのかさえ分かっていない。だが、同社にとって大きな意味を持つことは確かなようだ。ここにちょっとしたヒントがある。

 昨年9月、GoogleのエンジニアリングディレクターChris McKillop氏が、Fast Companyの記事をツイートしている。さらにこれを、ArsTechnicaにコメントしたTravis Geiselbrecht氏がリツイートしている。

 記事は8月19日付で「Googleは、いったい何で新しいカーネルをスクラッチで作っているのか」と題し、Magenta開発の背景を探ったものだ。その中で、Linuxのカーネルは、▽モノシリックでサイズが大きく、高価で消費電力が大きいプロセッサを必要とする▽リアルタイムではない――と指摘。GoogleがIoTの新しいデバイスに対応するため、Magentaをフルスクラッチで開発する道を選んだと推測した。

 記事は同時に、Fuchsiaの開発者が、このOSがスマートフォンやデスクトップコンピュータに拡張できると主張していることに着目し、「スクラッチで始めて効率的なOSを実現し、Googleが常に関心を持っている効率的なサーバーを推進できる」と狙いを推測している。スタートはIoTだが、広範囲に活用できるのではないかということだ。

 McKillop氏はツイートで「いい記事だ。現実的な報道に出会うのはすてきだ」と評している。

 ともあれFuchsiaの肝心の部分は依然、謎に包まれたままだ。そしてまだ初期段階にある。間もなく開催の年次開発者会議「Google I/O」で何かの発表が飛び出す可能性はあるが、ArsTechnicaは、Fuchsiaがコンシューマー製品となって姿を現すのは2020年ごろになるかもしれないと述べている。