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Dockerがエコシステム構築に大きな一歩、Moby ProjectとLinuxKit発表

Red Hatの「Fedora」のように

 3つの発表の目指すところは「コンテナの拡大と普及」だ。2013年創業のDockerは、以前からLinuxにあった「コンテナ」というアイデアを実現するツールで開発者の人気を集めた。当初、DockerコンテナはLinuxプラットフォームでしか動かなかったが、2016年に対応プラットフォームを、Windows、Mac OS X、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azureなどへ一挙に拡大した。Mobyはその際に開発した社内のキットをオープンソースで公開するものだ。

 Dockerはブログで、自動車業界がエンジンなどで共通コンポーネントを利用することに触れながら、「プラットフォーム向けのDockerエディションを十数種類構築したが、これらを構築して出荷するにあたって拡張性のある方法が必要だった」と説明している。オープンソースで公開することで、コンテナのエコシステムレベルで、アセンブリの協業が可能になると考えているという。

 Hykes氏はCIO.comに対して、「MobyはDockerの中心となり、Dockerがコンポーネントの設計、テスト、統合をする場所、Dockerの部品がどのようにフィットするかを話し合う場になる」と説明している。また、CEOのBen Golub氏は、Moby Projectを外部の組織に寄付することはなく、自社で主催すると述べている。

 CIO.comは、これをRed Hatの「Fedora」に例える。Red HatはLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を開発、提供する一方で、オープンソース版のFedoraプロジェクトも進める。新機能はFedoraで先に導入し、試された後にRHELに入る。

 これによってRed HatはLinuxの裾野を広げ、エンタープライズに浸透することに成功した。このモデルをDockerはDocker/Moby Projectで採用したというのだ。Hykes氏はSDTimesに対し、「Dockerはコンテナの主要な商用スポンサーとなり、このプロジェクトがコンテナコミュニティのスケール(拡張)を支援する」と述べている。

 Silicon Angleは今回の発表で「プロジェクトのDocker、エンジンのDocker、企業のDockerの混乱が、かなり解消した」と評価する。DockerConの内容を受け、「Dockerは第一の開発ツールになった」と解説し、「Moby Projectはコンテナエコシステムの成熟を反映している」「Dockerは開発者の使い勝手と体験にフォーカスしており、LinuxKitは大きな意味を持つ」とのアナリストの見解を紹介している。