2020年7月15日 06:00
弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2020年夏号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2020年6月30日
定価:本体2000円+税
新型コロナウイルスへの対応にテレワーク、リモートワークの導入が急激に進んでいる。しかし、自宅での業務や作業に適さない職種もある。サーバーやネットワークを運用管理するIT部門もその一つだ。
会社のネットワークが突然停止した。自宅で監視ツールを眺めていてもどうしようもないので、とりあえず出社する。どの企業や組織のIT部門でもある、極めてありふれたことだ。テレワークに限ることでもなく、外出先や休日、深夜に呼び出されることさえ日常的という担当者もいるだろう。
こんな時にひとまず、サーバーやネットワーク機器を遠隔で再起動できたら。そんな思いを実現するのが、明京電機の「WATCH BOOT light RPC-M5CS(以下、RPC-M5CS)」だ。RPC-M5CSは、ネットワーク機器をはじめとするIT機器の電源を遠隔で制御する装置だ。明京電機ではこうした機能を持つ機器を「リブーター」と呼んでいる。
多様な監視でフリーズした機器を自動リブート
RPC-M5CSは機器の死活を監視し、未応答が続いた際にはフリーズと判断して電源出力をOFF/ONして機器を自動リブートする遠隔電源制御装置。19インチハーフ1U型で、最大制御容量は1500W。電源差し込み口(アウトレット)を4つ装備しており、アウトレットごとに最大4ヵ所のIPアドレス、またはドメインネームに対してPING監視を行なうことができる。PINGに対する応答が設定したしきい値を下回るとフリーズと判断して、電源のOFF/ONを行なう。電源制御を行なわずにメールでアラートを送信することも可能だ。電源ONにともない指定されたMACアドレスに対してマジックパケットを送ってPCやサーバーを起動したり(Wake on LAN)、スクリプトを実行してシャットダウンさせたりすることもできる。
PINGによる監視だけでなく、ハートビート監視にも対応。機器のハートビートを監視し、電源の自動リブートだけでなく、電源のONやOFFを追従させる機能もある。これによりアプリケーションレベルのフリーズ検出も可能となる。さらに、オプションの温度センサーを利用すれば、温度を監視して機器の電源を自動的に制御できる。
RPC-M5CSは、シャットダウン機能も有しており、最大20設定可能の週間スケジュール機能と組み合わせて、常時稼働している機器を定時リブートすることもできる。例えば、遠隔地の計測機器で使用しているPCやデジタルサイネージといった用途にも有効だ。
こうした多様な監視機能による自動電源制御のほか、http、シリアル、telnet、テキストメール、ダイレクトWebコマンドなどの方法で、通信による遠隔電源制御が可能となっている。
別売となっているネットワーク稼動監視ソフト「RPC-EYEv3」を利用すれば、複数のリブーターから電源やPINGの応答状況などの状態通知データを受け、ネットワークの稼動を監視できる。
RPC-M5CSの価格は4万4800円(税別)。ラインナップとして、小型リブーター「WATCH BOOT nino RPC-M2CS」も提供されている。2アウトレット制御で、最大制御容量は1000W。機能を絞った廉価版(税別3万4800円)ではあるが、PING監視、ハートビート監視、最大20個のスケジュール制御など、リブーターとして必要な機能は備えている。
もちろんすべてのトラブルが電源の再起動だけで解決するわけではないが、再起動することで復旧することが多いのも事実だ。ひとまず再起動を掛けて、それで解決できれば復旧時間を大幅に短縮でき、無駄な移動を省ける。サーバーやネットワーク機器だけでなく、IPカメラやデジタルサイネージなど、常時あるいは長時間稼働し続けることが前提の機器を多く運用管理している環境では、こうしたリブーターの存在は担当者の力になってくれるに違いない。