クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

HCIのシンプルさとCIの柔軟性を統合する次世代HCI――HPE Nimble Storage dHCI

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2020年春号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2020年3月30日
定価:本体2000円+税

HCIとコンバージドインフラのどちらも選びたい

 「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」は、高度な仮想化技術を応用し、サーバーとストレージをコンパクトなデバイスに統合し、ITインフラやデータセンターの運用負荷・コストを低減するアプライアンスとして人気が高い。

 一方でHCIは、各種リソースのいずれかを強化したいというニーズには適さない場合が多い。突発的なワークロードの増大などニーズの変化へ対応するために、必要に応じてリソースを柔軟に拡張できる従来の「コンバージドインフラ」を選択したり、HCIと共存させたりする組織も少なくないという。

 ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)は、こうした多様なニーズに応える次世代のHCIとして「HPE Nimble Storage dHCI」を開発した。ワークロードの成長は予測不能なものという前提で設計され、HCIとコンバージドインフラの双方の利点を兼ね備え、仮想化環境の運用管理の負荷低減に貢献するという。

写真1:HPE Nimble Storage dHCI(出典:日本ヒューレット・パッカード)

サーバー/ストレージを独立&統合

 AIでシンプルな運用を実現HPE Nimble Storage dHCIは、コンピューティングリソースに「HPE ProLiantサーバー」、ストレージリソースに「HPE Nimble Storage」と定評のあるデバイスを採用し、いずれも個別に拡張できるように構成されている。クラスタへの増設は透過的で、リソースの効率を最大限に高めている。

 ユーザーがセルフサービスで運用できるシンプルさも魅力の1つだ。コンピュートとストレージの双方が統合的に制御され、VMware vCenterのみで統合管理できるためサイロ化も解消。仮想マシン等の管理はポリシーベースの自動化を実現しており、導入も管理も極めて容易だ。第三者機関の検証によれば、HPE Nimble Storage dHCIクラスタとVMware vSphere環境を12分以内に展開し、運用中もシステムを止めずに3分以内でサーバーを追加できたとのことである。

 HPE Nimble Storage dHCIには、クラウドベースのAI管理ツール「HPE InfoSight」が組み合わされており、仮想化環境全体を自己最適化するためのインテリジェンスおよび自己管理機能を備えている。リソースの不足や万が一の障害を予測して、課題に対する意志決定を自動化し、トラブルを未然に回避できる。最大で86%のサポート案件が自動的に解消されるという試算もある。

 ストレージは、Nimble StorageのCASL機能とInfoSightの組み合わせで99.9999%という耐障害性を実現した。単一障害点を排し、仮に3台のドライブで同時に障害が発生したとしても、運用を継続できるという。重複排除・圧縮、ゼロパターン消去、シンプロビジョニング、ゼロコピークローンといったデータ管理機能によって、データ容量は最大21分の1にまで削減される。さらに「Veeam」や「HPE Recovery Manager Central (RMC)」との統合で、強力なデータ保護環境が実装されている。強力なコンピュートリソースとの組み合わせで、200マイクロ秒という低レイテンシーなデータ応答を実現。自動QoS機能の働きもあって、すべてのアプリケーションを高いパフォーマンスで実行できるという。

 さらにHPE Nimble Storage dHCIは、「HPE Cloud Volumes」やGoogleの「Anthos」との連携によって、マルチクラウドにおけるアプリケーションとデータのモビリティも確保されている。ハイブリッドクラウド環境を前提としたITインフラの構築にも役立つことだろう。