クラウド&データセンター完全ガイド:プロダクトレビュー DCを支える黒子たち

VMware vCloud NFV 2.0(NFVプラットフォーム)

通信事業サービス基盤の仮想ネットワーク化を支援

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2017年夏号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2017年6月30日
定価:本体2000円+税

 ネットワークの構成要素をソフトウェアで実現するNFV(Network Function Virtualization)は、ネットワークの簡素化とTCO削減を実現するものとして、多くの事業者で導入が進められている。

 ヴイエムウェアの「VMware vCloud NFV」(図1)は、ETSI(European Telecommunications Standards Institute)に準拠した完全統合型のモジュール式マルチテナントNFV基盤であり、通信事業者の仮想ネットワーク基盤に向く。

図1:VMware vCloud NFV の構成図(出典:米ヴイエムウェア)

 サーバー仮想化ソフト「VMware vSphere」やストレージ仮想化ソフト「VMware vSAN」、ネットワーク仮想化ソフト「VMware NSX」のほか、マルチテナント環境を制御してハイブリッドクラウドサービスを実現する「VMware vCloud Director」、OpenStackベースのリソース制御「VMware Integrated OpenStack」を統合。マルチテナント環境で高い可用性と高度なネットワークおよびセキュリティ機能が実現される。

 オプションとして、統合管理環境の「VMware vRealize Operations」やログ収集・分析機能の「VMware vRealize Log Insight」「VMware vRealize Network Insight」を用意。これらを導入すれば、プラットフォーム全体を一元管理しつつ、必要に応じてプロセスを自動化し、予測分析も利用できるようになる。高度で安定的なネットワーク運営を求められる事業者にとって有用な管理機能と言える。

 2017年3月に新バージョンの「VMware vCloud NFV 2.0」がリリースされた。サービス自動化、セキュアなマルチテナント、運用管理の簡素化という事業者にとって重要な3つを強化し、可用性がこれまで以上に向上しているという。サービス自動化について、サービス視点の高度なポリシー機能のほか、仮想ネットワーク機能(VNF)のパッケージングや既存のVNFワークロードをVMware Integrated OpenStackに自動インポートする際のリソース要求などの機能が追加された。また、REST APIも強化され、NFVインフラの導入ライフサイクルを自動管理できるようになっている。

 運用管理面では、VMware vRealize Network Insightsを通じて、オーバーレイ/アンダーレイ/仮想/物理の各環境で導入済みのサービスを構成するすべてのコンポーネントを可視化できるようになった。

 これにより、ネットワークリソースの稼働状況、パフォーマンス、キャパシティに関する、ほぼリアルタイムのデータを継続的に受け取れるほか、リソースとサービスのオーケストレーションワークフローのクローズドループ型統合に向けた取り組みとして、通知の優先順位付けができるようになる。さらにオープンAPIを活用することで、主要なサービス保証ソリューションとのノースバウンド連携も可能となる。

 ヴイエムウェアは、将来的な5Gネットワークの構築には仮想化技術の採用が不可欠であり、VMware vCloud NFVには、そのための通信事業者向けアーキテクチャも備わっているとしている。

クラウド&データセンター完全ガイド2017年夏号