クラウド&データセンター完全ガイド:JDCC通信

JDCC通信 第29回 中国(チャイナ)事情とCDCCとの協力関係

弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2020年夏号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2020年6月30日
定価:本体2000円+税

日本データセンター協会 Japan Data Center Council(JDCC)
http://www.jdcc.or.jp/

日本データセンター協会(JDCC)は国際協調活動を強化すべく2014年4月にグローバルアライアンスWGを立ち上げ、諸外国の団体・企業と交流している。とりわけ中国データセンター協会(CDCC)との交流は2017年より始まり、現在も活発に交流を続けている。今回はそのCDCCとの交流活動を紹介する。

躍進する中国データセンター

 諸外国にはデータセンター関連の団体・コミュニティが多数存在するが、それら海外との友好関係を維持・拡大し、情報交換を通じて日本国内の活動を活性化することを目的に、日本データセンター協会(JDCC)は2014年4月にグローバルアライアンスWGを立ち上げた。とりわけ近年活発に交流している先の1つがCDCC(China Data Center Committee)である。

 中国は近年急激な経済発展を遂げ、スマートフォンやSNSなどが普及・浸透するにつれて想像できないほどの変革、いわゆるデジタルトランスフォーメーションが進行している。例えば同国アリババグループが運営しているECモールの「天猫(Tmall)」はユーザー7億人のトランザクションを瞬時に処理する。そうしたデータセンターを下支えしているのが中国の業界・団体であり、大規模データセンターが驚きのスピードで中国全土に数多く建設される。こうした状況下でCDCCは業界団体としてデータセンターの省エネ化・効率化・標準化を中国政府のもと推進している。

CDCCとの交流活動

 CDCCとの交流は多数あるが、大きなもの、特徴的なものを3つ挙げる。

中国データセンターツアー

 JDCC会員に広く認知されているのは中国データセンターツアーだ。相手国のデータセンターを見学したいという双方の思惑が一致。2018年から定期的に相互実施している。昨年度は上海、杭州、青島、北京ルートの10日間で各地のデータセンターを見学した。参加は総勢30名以上。大盛況である。一方、日本ツアーでは都度JDCC会員に見学で協力いただくが、CDCCから「有益」とのお言葉で高評価だ。

イベント相互参加

 両団体とも会員向けに総会やイベントを開催しているが、そこにお互いが参加することで日中間の定期的な情報交換の場となっている。昨年度は双方とも設立10周年の節目で、総会で相互に理事長がスピーチした。CDCCの総会は2019年11月に北京で開催。中国全土から会員1000名以上が集結し、大規模な展示会やワークショップ、前夜祭はJDCCが主賓で開催された。

日中データセンター市場レポート

 3年間にわたるCDCCとの交流を経て、それぞれの国のデータセンター市場について規模や分析、今後の展望を総括した日中データセンター市場レポートを共同で発刊した。中文版の発刊は2019年11月で、CDCC総会でお披露目された。日本語版も鋭意発刊の準備中だ。

今後の展望

 我が国の新型コロナウイルス緊急事態宣言のさなか、CDCCより、お世話になったJDCC各位にマスクと手袋を寄贈したいとの申し出があり、5月下旬にはそれぞれ1万1000枚が事務局と希望会員50社に送付された(写真1)。この場を借りてCDCCのご好意に感謝の意を表すとともに、今後もより活発に交流を続けていくつもりだ。

写真1:マスク・手袋送付作業中のCDCCメンバー
日本データセンター協会(JDCC)は、データセンター事業者と主要な関連事業者が参加する組織を形成し、水平的垂直的に協力して国際競争力を備えたものへと進化させることに取り組んでいて、IT立国の基盤を支えるデータセンターのあるべき姿を追求することを目的としている。