クラウド&データセンター完全ガイド:JDCC通信
JDCC通信 第20回 設備運用・保守の効率化を目指す JDCC 機械学習・人工知能WG
2018年5月16日 06:00
弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2018年春号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2018年3月30日
定価:本体2000円+税
データセンター設備の運用・保守手法は従来のままで効率化が進んでいない。稼働・保守データはすでに収集・蓄積されているケースが多く、機械学習などの分析・活用手法を導入することで効率化が期待できる。そこで、日本データセンター協会では「機械学習・人工知能WG」が発足。その概要を紹介する。
データセンターの設備に求められるのは安定稼働である。そのため、運用・保守手法は従来のままというケースが多く、効率化については現在の要求水準と比べると低いと言わざるを得ない。
設備の現状をデータセンター事業者各社にヒアリングするなどした結果、稼働・保守データは収集・蓄積されていることがわかった。それと同時に十分に活用できていない状況も見えてきて、その主な理由が人的リソースと分析技術の不足であることも見えてきた。
そこで、日本データセンター協会(JDCC)では、設備運用・保守における課題解決への新しいアプローチを模索するため「機械学習・人工知能WG」を発足させた。
データ活用とそれを阻む壁
データ分析・活用の必要性は、現場から経営層まで認識されている。では、なぜ活用が進まないのか。
理由としてまず挙げられるのは人的リソース不足。日々の業務に追われ、活用に踏み出す余裕がない。次に挙げられるのは分析技術の不足。従来のしきい値管理を超えるには統計処理と因果関係を読み解く力が必要だ。しかし、そうした技術者は不足している。
成果への過度な期待も活用が進まない理由だろう。人や設備への投資が必要な点は理解できるが、成果が得られる保証がないものには手を出しにくい。
手段としての機械学習
本WGはデータ活用を阻んでいる壁を業界全体で乗り越えるため、情報交換と技術力向上の場を提供する。WG名に機械学習や人工知能という言葉が並んでいるが、目的は効率化であり、機械学習や人工知能にはとらわれない。
現在の参加メンバーは事業者を中心に関係者が幅広く集まっている。そのため、専門分野や技術レベルもさまざまで、当初は各社の取り組みや統計処理手法、機械学習プラットフォームなどについて勉強会を開催していく。
その後の活動は、小規模グループによる事例研究や実際のデータセンターでの実証試験を含めて検討中で、最終的に事例集や標準化、ガイドラインといった形で成果をまとめることにしている。
本WGは実際に手を動かしての活動になることや、新しい分野への挑戦であることから、頭の柔らかい若手メンバーの参加を期待している。