クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画
ネットワークを変えたら収益率が上がる? 新サービス開発に効くNFV/SDN時代のITインフラとは?――ブロケード コミュニケーションズ システムズ
2015年3月31日 00:00
VLAN ID重複問題を解決/
Brocade VCS Virtual Fabric
ブロケード コミュニケーションズ システムズ
http://www.brocadejapan.com/vdx/
競争の激化を受け、多くのデータセンター事業者は今、自社の顧客に対していかに付加価値の高いサービスを提供し、同時に高い収益率を確保するかという課題に直面している。しかし一方で、ネットワーク分野における昨今の目覚ましい技術革新の恩恵を受け、従来不可能だったことを可能にし、顧客への価値提案を最大化することで収益構造の強化を実現している先進的な事業者が存在している。その成功の裏にはいったい何があるのか?
盲点になっていた! ハウジングからクラウドへの移行を阻害するVLAN IDの制約
巨大データセンターを要する大手クラウドサービスの躍進を横目に、多くのデータセンター事業者は今、どのように自社のビジネスを成長させていけば良いのか頭を悩ませている。ブロケード コミュニケーションズ システムズ(以下、ブロケード) 執行役員の権田裕一氏は、「特に最近よく聞こえてくるのが、いかにして自社のコロケーションユーザーを自社のIaaSやPaaSへと誘致していけばよいのかというお話です」と語る。
今や多くの企業がデータセンターでのハウジングに加え、IaaS 型のクラウドサービスを利用している。しかし、これらユーザー企業は、ハウジングしているデータセンターのクラウドサービスを利用するとは限らない。データセンター事業者から見れば、「なぜ当社のクラウドサービスをご利用いただけないのか」ということは大きな悩みの種だ。
その理由としては、データセンター事業者がそうしたハイブリッドな活用のされ方を想定していなかったためにビジネスのオペレーション側が追い付いていないという点が考えられる。しかし、「意外に盲点になっているのがネットワークの問題です。ハウジングとIaaSの基盤を接続しようとすると、さまざまな側面でVLANが制約となっているのです。そしてそれが、ユーザー企業にとって競争力のあるIaaSサービスを提供できないという状況につながっています」と権田氏は指摘する。
例えばハウジングサービスでは、ユーザーはそれぞれ自由にVLANを活用している。したがって、データセンター内でIaaS基盤に接続しようとすると、単純にVLANをオーバーラッピングすれば良いという話にはならない。MPLS(Multi Protocol Label Switching)技術等でアドレスを変換する方法もあるが、これを実現するには高額な費用がかかる。また、ユーザーごとの要件に対応するためには、個別にVLAN IDの調整が必要になったり、特別な機器や配線が必要になるという問題もある。ユーザー側での調整作業を強いることにもなり、IaaSサービスへと誘致しようにもさらにハードルが上がってしまう。「これでは運用が非常に煩雑になり、当然コストもかかってしまいます。結果としてユーザーへのサービス価格に跳ね返ってきてしまうことになり、他の強力なパブリッククラウドに比べて競争力のあるサービスを提供するのは困難になります」と権田氏は強調する。
ネットワークの進化がビジネスチャンスを生む理由
こうしたVLAN IDの問題は、実は従来型のネットワークでは当たり前のことであり、多くの事業者ではそれが“ビジネスチャンスを阻む要因になっている”ということに気付くことがなかった。しかし、今日では技術革新が進み、こうしたVLAN IDの制約を容易に、かつ低コストで排除できるソリューションが提供されている。それを実現するのがブロケードのBrocade VCS ファブリック技術だ。従来当たり前とされてきたネットワークの煩雑な設定・運用作業の大幅な自動化を実現しているVCSファブリック技術のVirtual Fabric機能では、複数の異なるユーザー環境を仮想的に束ねることで、VLAN IDをシームレスに変換することが可能になる。
「Virtual Fabric 機能を搭載した『Brocade VDXスイッチ』でデータセンター内のネットワークを構築することで、VLAN IDの重複や変更の問題を追加のコストなしに解決できるようになります。しかも、Virtual Fabricが自動的に制御するので運用が複雑になることもありません」(権田氏)
実際ある大手データセンター事業者では、すでにVirtual Fabricの利点を生かしたネットワークを構築し、ハウジング基盤とIaaS 基盤をシームレスに接続することで新サービスのメニュー化を実現しているという。さらに、Virtual Fabricを活用すればユーザーごとに任意のVLAN IDを割り振る必要もなくすことができる。これにより、従来通りVLANの制限があるサービスに加えて、VLANの上限値である4,096をまるごと利用できるようなサービスを新たに「プレミアムサービス」として提供できるようになる。特に大規模にネットワークを活用している企業にとって、VLANを制限なく利用可能なサービスは魅力的となる。つまり、ネットワークを進化させることで、ビジネスチャンスを拡大することができるわけだ。
NFV/SDN時代に向けた最初のステップとしてのファブリック
近年、ネットワークに関しては「NFV(Network Functions Virtualization)」や「SDN(Software-Defined Network)」への注目が高まっている。ネットワークシステムエンジニアリング部 部長の髙井浩一氏は「オンプレミス環境とIaaS環境の接続にはオーバーレイ技術、例えば、SDN対応製品を使わなければ実現できないと思われがちですが、Virtual FabricではSDNの利点として考えられていることの多くを実現できます」と話す。Virtual Fabricを搭載するVDXスイッチシリーズでは、1Gから10G、40G対応の豊富な製品ポートフォリオを揃え、さまざまな規模のデータセンターの要件を満たすことができる。ボックスタイプのスイッチ2台からスモールスタートでファブリックを構成し、そのメリットを享受できる点も大きな利点だ。
もちろんブロケードでは、NFV/SDN分野での技術革新にも注力している。現にNFVのソリューションの1つとしては、仮想ルータや仮想ファイアウォールとして動作する「Brocade Vyatta vRouter」がある。「企業ごと、部署ごとに設置していたUTMなどの高価なアプライアンスをNFVで置き換えることで、導入コストも運用コストも削減しましょう、ということをご提案させていただいています」と権田氏は話す。さらにSDNの分野では、OpenFlowへの対応やコントローラの提供はもちろん、データセンター全体の統合管理に向けたアプローチも強化している。OpenStackへの積極的な対応に加え、VMware NSXとの強固な連携も実現しており、最新の「VCS Gateway for NSX」機能ではVCSファブリック全体がVXLANゲートウェイとして動作できるようにした。
髙井氏は、「Virtual Fabricを搭載したVDXスイッチシリーズなら、ビジネス課題を解決しつつ、シンプルで強固な物理基盤を構築できます。それを土台として、NFV/SDNに対応したネットワークへと進化させていきましょう、というのがブロケードの提案です」と締めくくる。