クラウド&データセンター完全ガイド:特別企画

サービス基盤の運用効率向上とコスト削減のためにクラウド事業者は「ホワイトボックススイッチ」に注目せよ!

Quanta Computer製ホワイトボックススイッチ
株式会社ネットワールド
http://www.networld.co.jp/

クラウドサービス事業者にとって、サービス基盤となる機器の選定は大きな課題だ。よりよいサービスを提供しようと高性能で高価な機器を導入したら、ユーザに提供するサービス価格に跳ね返る。現在のユーザは、性能はもちろん、価格面でも妥協しないもの。彼らを獲得するには、サービス基盤の運用効率向上とコスト削減が不可欠なのだ。今、この課題に応える最適解を生み出す変革が起こりつつある。「ホワイトボックススイッチ」という新たな潮流だ。

クラウド事業者の課題解決に最適な「ホワイトボックススイッチ」

 仮想化の進展によってサーバ統合が進み、サーバ1台当たりの通信量は飛躍的に増大した。それを受けてサーバとストレージの通信にさらなる高速性が求められ、ストレージにも10Gbpsのインタフェースが実装されるようになった。そうしたなかで、スイッチの主流が10Gbpsへ移行していくことは必然の流れだ。

株式会社ネットワールド SI技術本部 インフラソリューション技術部 ネットワークソリューション課 課長 今井徹氏

 特にクラウドサービス事業者にとって10Gネットワークへの対応は喫緊の課題だ。だが、その実現に向けた投資は大きなチャレンジになる。高価な10Gスイッチを導入したら、その価格がクラウドサービスの提供価格に跳ね返る。ユーザが安価なサービスを求めている現在、「10Gネットワークの導入コストを抑えるとともに、運用の手間を削減する――これがクラウドサービス事業者の課題です。この課題に対して、決定的な解決策になりうる変革が起こりつつあります。それが『ホワイトボックススイッチ』です」と、ネットワールドのSI技術本部 インフラソリューション技術部 ネットワークソリューション課 課長 今井徹氏は指摘する。

 これまでスイッチは、専用ハードウェアに専用ソフトウェア(ネットワークOS)を搭載するという形態が一般的だった。ホワイトボックススイッチは、その常識を翻したオープン設計のスイッチだ。具体的には、スイッチチップなどに汎用部品を採用したハードウェアに、ユーザが選んだネットワークOSを搭載するという形だ。

 かつてネットワーク機器ベンダーのみが製造していたスイッチチップだが、近年はチップベンダーがOEM製造を請け負ってきた。チップベンダーは、そのなかで蓄積したノウハウを生かし、自社のスイッチチップを開発/製造するようになった(図1)。

 これらの汎用チップを採用したのがホワイトボックススイッチであり、「プロプライエタリなスイッチと遜色ない性能を実現し、また、価格の面では圧倒的に優位です」と今井氏は語る。

OSSのネットワークOSとの併用でLinuxサーバ同様の運用も可能に

 ネットワールドは、台湾Quanta Computer(以下、Quanta社)とディストリビューター契約を結び、第一弾として同社のホワイトボックススイッチの提供を開始した。

 もともとホワイトボックススイッチは、GoogleやFacebookなどに代表されるメガデータセンターのニーズから生まれた。メガデータセンターでは、大規模なネットワークをごく限られた人数のエンジニアで管理するため、スイッチの運用をサーバやストレージの管理のように自動化する必要があった。そこで登場したのが、ホワイトボックススイッチである。

株式会社ネットワールド マーケティング統括部 マーケティング2部 ネットワーク課 主任 君塚泰幸氏

 「ホワイトボックススイッチのメリットは、導入コストが低いことだけではありません。ネットワークOSを自由に選択できることが、大きなメリットです」と、マーケティング統括部 マーケティング2部 ネットワーク課 主任の君塚泰幸氏は説明する。

 ネットワークOSを自由に選択できるということは、管理者が必要とする機能を実装できることを意味する。

 例えば、Quanta社のホワイトボックススイッチに、Cumulus LinuxやOpen Network LinuxといったLinuxベースのネットワークOSを搭載すれば、Linuxサーバと同様に管理することが可能になる。「つまり、コンピューティングリソースとネットワークを一元管理し、データセンター運用の自動化を実現できるのです」と君塚氏。こうした管理や自動化は、ネットワークコマンドで制御するプロプライエタリスイッチでは困難なことだった。

 さらにQuanta社のホワイトボックススイッチは、「ONIE(Open Network Install Environment)」に準拠している。ONIEは、高効率なデータセンターの実現に向けてFacebookが提唱するエンジニアコミュニティ「Open Compute Project」が策定したオープン仕様で、これに準拠したスイッチであれば、物理ネットワークに接続するだけでネットワークOSを自動でインストール/設定することができる。手作業によるインストールや設定が不要となり、メンテナンスなどの負担を大幅に軽減できるのだ。

ホワイトボックススイッチの活用をネットワールドが徹底サポート

 ネットワールドが提供するQuanta社のホワイトボックススイッチは、1Gbpsのエントリーモデル「1000シリーズ」のほか、10Gbpsの「3000シリーズ」と40Gbpsの「5000シリーズ」の3シリーズである。代表的な製品である3000シリーズの「T3040-LY3」は、10GBase-T×40ポート/10G SFP+×8ポート、スイッチング容量960Gbpsという高スペックながら、参考価格は149万円と同等製品の半額程度だ。

図1 ホワイトボックススイッチに至るスイッチ構成の進化

 ホワイトボックススイッチは、早いうちから先進的な事業者に注目されていたが、国内で取り扱うベンダーが少なく、直接海外ベンダーから入手していたユーザもいた。ネットワールドがQuanta社と提携したことで、入手が容易になったうえ、同社の高品質なサポートも受けられるようになった。

 「ネットワールドでは、国内事業者に適した高品質な製品を選定し、全国へ安定的に供給します。また、日本語対応のコールセンターを配備し、クラウドサービス事業者様も安心して利用できる保守サービスを提供します。他の製品と同様に、『後出しセンドバック』『先出しセンドバック』『平日オンサイトサポート』『24時間365日オンサイトサポート』の4種類から、必要に応じて選択していただけます」(君塚氏)

 ネットワールドでは、ネットワークOSが搭載されていない汎用スイッチとして利用できる製品と、標準でQuanta OSが搭載されている製品の両方を用意している。同社では、ユーザの要望に合わせて、Cumulus Linuxのサポートも一元的に提供する予定とのことだ。

お問い合わせ先

株式会社ネットワールド

マーケティング部

E-mail:quanta-info@networld.co.jp