クラウド&データセンター完全ガイド:データセンターサービスガイド

優れた立地環境と低い災害リスク。電力インフラで培った高度な技術力で数多くの企業のBCP/DRサイトを運用

FIT-iDC
北電情報システムサービス
https://www.hiss.co.jp/fit_idc

東日本大震災以降、データセンターをBCP/DRの要衝と位置づける企業が急増中だ。単なるサーバーの運用委託だけではなく、災害時にも確実な業務継続を約束するサービスや、インシデント対応の高度なノウハウ提供が、これからのデータセンターには強く求められてくる。そうした中、東京、名古屋、大阪の三大都市圏から「ほどよく離れ、いざという時に駆けつけられる」立地の良さや、北陸電力グループの一員として培った高い技術力で注目を集めているのが、北電情報システムサービス株式会社の「FIT-iDC」だ。
「FIT-iDC」の外観イメージ

「ほどよく遠くて、駆けつけるには近い」立地のよさでバックアップサイト需要が急増

 北陸電力グループの一員として、北陸電力およびグループ各社のシステム開発・運用を一手に担ってきた北電情報システムサービス株式会社(以下、北電情報システムサービス)。24時間/365日ノンストップの電力供給という重要インフラならではの厳しい条件下で培った高度な運用ノウハウは、同社が運用するデータセンター「FIT-iDC」にも活かされている。

 FIT-iDCの特徴は、BCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)を目的としたバックアップ利用がほぼ半数を占めている点にある。こうした需要は東日本大震災以降、全国的に増えているが、とりわけFIT-iDCが選ばれる大きな理由は優れた立地環境にあると、営業部 営業推進グループ データセンター営業チーム リーダ 伏木敏朗氏は語る。

北電情報システムサービス株式会社 営業部 営業推進グループ データセンター営業チーム リーダ 伏木敏朗氏

 「もっとも大きいのは、地震災害の可能性がきわめて低い点です。富山県で今後30年以内に震度6弱以上の大地震が発生する可能性は、わずか6%以下と予想されています*1。また、内閣府の南海トラフ巨大地震による被害想定でも、富山県は関東以西の全国で唯一『被害想定なし』とされています。こうした公式データを見て、DRサイトを置きたいというお客様が、東日本大震災以降急に増えてきました」(伏木氏)。

内閣府が発表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、富山県は被害なしと想定されている。

 大都市圏の企業が富山に注目するもう一つの理由が、「適度な距離感」だ。富山というと東京や名古屋、大阪からはアクセスしにくい印象がある。ところが実際はこれら三大都市圏からほぼ等距離にあり、特に東京からは飛行機なら約1時間、北陸新幹線で2時間という近さだ。このため万が一の時にも、より短時間で太平洋側の各都市からDRサイトに来ることができると、営業部 営業推進グループ マネージャ 石田裕一氏は強調する。

 「バックアップで利用されている約半数は、関東圏の企業です。もし東京や名古屋、大阪で大きな地震があった場合など、同時被災を避けるためにある程度離れた場所にバックアップサイトを置きたい。しかし同時に、万が一の時にはすぐに駆けつけられる場所が望ましいという要件に、FIT-iDC はぴったりだとご評価いただいています」(石田氏)。

北電情報システムサービス株式会社 営業部 営業推進グループ マネージャ 石田裕一氏

 また太平洋側から富山へのアクセスは、複数のルートが選べる。東京から上越新幹線だけでなく、名古屋や大阪から北上してゆく経路もある。日本海沿いに東西からも入れるし、陸路がいよいよ使えない場合は船という手もある。北海道や沖縄ではこうはいかない。本州の中央にある富山ならではの強みだ。

 FIT-iDCの電源周波数が60Hzというのも、関東圏の企業に人気の高い理由だ。もし、本社が被災し、広域の電力不足が発生した場合、バックアップサイトが同じ50Hz圏の北関東や東北に置いてあると、共倒れになる可能性がある。そうならないように、異なる電源周波数のデータセンターを確保しておく方が安心というわけだ。

*1:J-SHIS(独立行政法人防災科学技術研究所)が公開する地震ハザードの共通情報基盤による。

5種類の免震装置を組み合わせた免震構造で震度7クラスでもシステム運用を止めない

 立地条件と並ぶもう一つのアドバンテージが、「高信頼のファシリティ」。災害に強く、どんな時にも事業継続を約束する、データセンターそのものの信頼性だ。

 とりわけ注目は、5種類の免震装置を組み合わせた独自の免震構造だ。地震の揺れによる建物の動きを逃がす装置や、建物の揺れを押さえ込むダンパーなど5種類の免震装置を組み合わせて、耐震グレード最上位の「S グレード」を実現。震度7クラスの大地震でも建物の損傷は軽微で、システムを止めることなく運用継続できると石田氏は言う。

「通常のデータセンターでは、こうした免震装置を2種類程度組み合わせていますが、5種類というのはFIT-iDC以外で見たことがありません。地震の少ない富山ですが、作るからには業界で一番のものをというのがコンセプトだったため、結果的にここまで頑丈な構造になりました」(石田氏)。

FIT-iDCは、5種類(上記4種類+弾性すべり支承)の免震装置を組み合わせることで、最上位「S グレード」の耐震性を実現

 もちろん建物が頑丈なだけでは、非常時のシステム運用を継続できない。電源の確保も重要だ。北電情報システムサービスでは、「TierⅢレベル」という高信頼度の電源設備を備え、複数の変電所から送られた高圧を本線予備線方式で受電。さらに非常用発電機とUPS(無停電電源装置)を必要台数プラス予備機の余裕ある構成で用意していると、営業部 営業推進グループ データセンター営業チーム 浦城一城氏は説明する。

 「東日本大震災では、あちこちで非常用発電機が動かなかった例が報告されました。そこで当社では年1回、非常用発電機を本番そのままの使い方で動かしてみる『実負荷運転試験』を実施しています。また発電機の燃料も常に48時間分を備蓄しており、複数の燃料供給事業者と緊急時の優先供給契約を結んでいます」(浦城氏)。

北電情報システムサービス株式会社 営業部 営業推進グループ データセンター営業チーム 浦城一城氏

 大きな地震の際には地盤の液状化が懸念されるが、FIT-iDCは「N値50」という、液状化リスクの極めて低い固い地盤に建設されている。ここは富山市のハザードマップによれば浸水の危険の少ないエリアでもあり、さらに建物周辺の土盛りや電源設備を建物2階に設置するなど、二重三重の水害対策が施されている。

 「さらに北陸特有の雷対策も行っています。冬場の激しい風雪を伴う『ブリ起こし』と呼ばれる雷は、低い雲から落雷するので非常に強力です。そこで、北陸電力の雷センターの研究成果を応用したさまざまな対策を施し、最高の『保護レベルⅠ』を実現しています」(伏木氏)。

電力というインフラで鍛えた技術力をもとにすべてのシステム運用を自社の技術者が担当

 立地条件や建物・設備など、いわゆるデータセンターの「ハードウェア」の次は、「ソフトウェア」=運用体制や技術陣について見ていこう。もともと北陸電力のシステム子会社として設立された北電情報システムサービスは、これまで北陸電力の基幹システムの開発・運用を手がけてきた。この経験が現在の高い技術力に結実したと伏木氏は言う。

 「電力会社のシステムは、どれも社会インフラに必要な高いレベルの可用性と信頼性が要求されます。その厳しい運用を通じて高度なノウハウを身につけた人材がそろっているのが、私たちの何よりの強みです。電力という分野で鍛えた技術力が、現在のFIT-iDC の極めて高い可用性やインフラの信頼性につながっていると自負しています」(伏木氏)。

 データセンターの中には、センターの建物設備だけを提供し、中に設置されたサーバーなどの運用は他の業者に委託するところも少なくない。だが、北電情報システムサービスでは、あくまですべてを自社運用する点にこだわると浦城氏は言う。

 「運用を外部に委託していると、緊急の問題が起こった時に、外から駆けつけなくてはならず、余計な時間がかかってしまいます。当社では、データセンターの運用業務に関するすべてのスキルを持った技術者が内部に常駐しているので、タイムラグのない手厚い運用を提供できるのが、お客様にとっての大きな価値の一つになっています」(浦城氏)。

 北陸電力がコンピューターを導入した最初からあらゆるシステムの運用を見てきた経験と蓄積が、現在のデータセンターだけにとどまらない、ネットワークやクラウドサービスといった最新のサービスメニューの展開にも繋がっている。

 また2018年からは、FIT-iDCを含む自社データセンターすべてを統合管理する「集中監視システム」を新規導入し運用を開始。。24時間/365日、常駐体制での監視・運用が実現した結果、万が一の問題発生時もこれまでより以上に迅速な対応が可能になった。

クラウドやAI、IoTなどに積極的に取り組みデジタル基盤としてのデータセンター像を探る

 インフラを中心としたシステム運用を多く手がけ、地道ながら高度な技術とノウハウが自社の最大の価値と自負する一方、最新テクノロジーにも積極的に取り組んでいると石田氏は語る。

 「まだ計画段階ですが、2020年度をめどにパブリッククラウドへの接続サービスを検討しているところです。当社のFIT-iDCを始めとしたデータセンターには、お客様のビジネスの重要なデータが集積されています。多くの企業がデータ資産を成長のためのリソースとして活用する途を探っている中で、パブリッククラウドはきわめて有効なプラットフォームだと考えています」(石田氏)。

 もちろんクラウド活用に欠かせない、情報セキュリティ面の強化も怠りない。浦城氏は「2000年のプライバシーマーク認定を皮切りに、情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC27001)認証取得、金融情報システムセンター(FISC)安全対策基準への準拠など、隔週認定やガイドラインへの準拠を、積極的に進めてきました」と説明する。

 富山県は、豊富な水資源による水力発電を背景にしたアルミ精錬などで、早くから日本海沿岸でも屈指の工業県としても知られ、現在も住宅用アルミサッシは全国トップシェアを誇る。こうした工業生産の現場にIoT や AIが今後急速に普及していくのは想像に難くない。

 「AIやIoT、BIが製造業をはじめとする地域の企業に普及していけば、それらを運用するクラウド基盤としての使われ方=新しいデータセンターの需要のあり方が生まれてくると確信しています。今後はクリティカルな基幹システムはしっかりしたデータセンターで運用しつつ、ビッグデータの解析処理にはフットワークの軽いパブリッククラウドを活用するといった使い分けも当たり前になっていくでしょう。そのとき、FIT-iDCを選んでもらえるよう、一層の信頼性向上に努めるとともに、クラウド連携にも力を入れていきます」(伏木氏)。

 恵まれた立地と電力事業で培った高度なノウハウをバックボーンに、企業のデータ活用を支え、そこから得た成果を地域社会に還元していくことが、これからの自分たちのミッションだと抱負を語る伏木氏。これからの北電情報システムサービスとFIT-iDCに、引き続き注目していきたい。

お問い合わせ先

北電情報システムサービス

https://www.hiss.co.jp/fit_idc