2018年10月1日 06:00
弊社刊「クラウド&データセンター完全ガイド 2018年秋号」から記事を抜粋してお届けします。「クラウド&データセンター完全ガイド」は、国内唯一のクラウド/データセンター専門誌です。クラウドサービスやデータセンターの選定・利用に携わる読者に向けて、有用な情報をタイムリーに発信しています。
発売:2018年9月29日
定価:本体2000円+税
新大手町サイト
ブロードバンドタワー
https://www.bbtower.co.jp/project/5g_idc/
今日のデータセンターには、企業の「デジタルトランスフォーメーション」(DX)を支援する拠点となることが求められている。IoTやビッグデータ、AI等の活用を促進するとともに、メガクラウドと呼ばれるパブリッククラウドサービスとの容易な接続性を提供、ビジネスの成長を後押しすることが期待されているのだ。そうした要請に応えるのが、ブロードバンドタワーが2018年8月に開設した新世代のデータセンター『新大手町サイト』である。
インターネットの接続拠点、大手町エリアで3大IXと構内接続
企業のデジタルトランスフォーメーションの推進を支援していくにあたり、『新大手町サイト』はどのような優位性をもたらすのか。「ロケーション」「ネットワーク」「ファシリティ」の3つの観点から解説していこう。
はじめにロケーションであるが、『新大手町サイト』はその名が示す通り、日本を代表するビジネスセンターの一つである、東京都千代田区大手町エリアのビル内に開設されている。交通の至便性や様々な組織・企業との連携、オンサイト作業時のアクセス性に優れるほか、デジタルトランスフォーメーションの推進において特筆すべき点は、国内外の通信事業者への優れたコネクティビティを保持している点だ。データセンター統括グループでシニアディレクターを務める神坂 慶介 氏は、「大手町エリアは、主要なISP、IX事業者が集中するインターネットの接続拠点になっています。『新大手町サイト』は国内3大IXであるJPIX、BBIX、JPNAPと同じデータセンター内の一つの拠点として接続する事ができます。企業はケーブル1本でIXと構内接続が可能で、遅延などの影響を受けない高品質な通信を享受できます」と話す。
また、同グループ プロフェッショナルの上田 晃 氏は「国内大手通信事業者の拠点とも近いことから、ダークファイバーを利用したプライベート光網を構築したい場合でも、通信事業者の局舎との区間が短く、導入の手間やコスト、期間を抑制することができます」と強調する。同グループ エキスパートの紙谷 孝男 氏も「パブリッククラウドサービスへの高速接続のニーズが増えていますが、プライベート光網の容易な実現に加え、代表的なメガクラウドとのダイレクト接続も可能です」と補足する。このほか、近傍のブロードバンドタワーの第1サイトとの間は光ファイバでダイレクトに接続されているため、両データセンターをシームレスに利用することも可能だ。
異局・異経路の回線接続で耐障害性を大幅に強化
続いて、ネットワークの優位性について見ていこう(図1)。インターネットを活用したビジネスを展開していくうえでは、ネットワーク障害に際してもビジネスを停止させない堅牢な仕組みが不可欠となる。「『新大手町サイト』では、NTT東日本の回線を、異局・異経路で利用可能です。これにより、万が一の災害やネットワーク障害の発生時にも、通信回線が分断されるリスクを低減できます。さらに構内ネットワークについても、企業が契約しているサーバーラックまで経路が被らないような構成を採ることも可能です」と上田氏は強調する。紙谷氏も「MDF室もルートの異なる2部屋を用意しており、別々のMDF室からそれぞれ自社で契約しているラックにネットワークを接続することも可能です」と補足する。
また、施設内の基幹ネットワークは、将来を見据えた最大100Gbpsの接続を可能とするほか、近年需要が増えている10Gbps接続にスムーズに対応するため、OM4タイプの光ファイバケーブルを採用。マルチモードによる接続の容易性と高速接続を実現している。
このほかにも、完全キャリアニュートラルにより、ニーズに合わせて通信事業者の回線を選択できるため、柔軟なネットワークの構築が可能だ。
サーバーの高密度化にも対応する床耐荷重と優れた省電力空調
事業の継続性確保とシステムの安定稼働を維持するうえでは、ファシリティも重要なポイントとなる。『新大手町サイト』では、フリーアクセスを廃したことで、床耐荷重1,800kg/㎡を実現。これまで大手町エリアのデータセンターが提供してきた倍以上のキャパシティを提供している。同グループ マネージャーの菊地 章裕 氏は「サーバーやストレージの高密度化に伴い、サーバー等の重量も増加しています。面積あたりの耐荷重が高いことで、これまでのデータセンターでは2ラック必要だったものが、『新大手町サイト』では1ラックで提供できることになり、お客様は大幅なコストダウンが実現できます」と話す。
また、空調には吹き下ろし方式を採用している。上田氏は「約18年間にわたるデータセンター運用で得た空調に関するノウハウを活かし、『新大手町サイト』では設計段階から1つ1つシミュレーションして検証を行い、空調の最適化に取り組んできました。送風に利用するファンの消費電力の抑制など、風量を減らしながらも温度を維持するための様々な取り組みを進め、さらなる省エネ化を実現しています」と説明する。
このほか、台風や豪雨等による浸水対策として電源設備を全て地上階に配置、さらに停電時の備えとして、非常用自家発電装置の連続給電時間も72時間を実現している。
セキュリティについても、データセンターの入館に際して専用エレベータを用意するほか、顔認証と静脈認証による2段階生体認証を実施。加えて、入館に関する煩雑さを抑制するため、専用ポータルサイトからの入館手続きを行えるようにしている。
こうしたロケーション、ネットワーク、ファシリティ面で多くの優位性を持つ『新大手町サイト』には、8月の開所以前から多くの問い合わせが寄せられており、そのほとんどが利用を前提としたものだという。上田氏は、「施設としての『新大手町サイト』の優位性に加え、当社は企業からの要望をできるだけ取り込んだ柔軟な提案が可能な点も強みであると考えています。実際、多くのお客様から固有の要望にきめ細かに対応する柔軟性、そして、対応にあたっての回答の早さが評価されています」と強調する。
今後の展望について神坂氏は、「インターネットでのビジネスを主軸とする企業だけでなく、今後はあらゆる業種・業界の企業がインターネット上でビジネスを行っていくようになります。そうした企業が求める様々なニーズをいち早く取り込み、デジタルトランスフォーメーションを支援していきたいと考えています」と力強く語った。
お問い合わせ先
株式会社ブロードバンドタワー
電話番号 03-5202-4801(土日祝日除く9:30~17:30)
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