マーケティングの現場でTwitter・ブログ分析を行うNTTアド

マーケティングリサーチサービス「なずきのおと」事例


NTTデータ 流通・サービス事業本部 メディア・エンターテインメント事業部 サービス企画担当 課長代理の佐藤勇一郎氏

 ここ数年で、ブログやTwitterなどソーシャルメディアの利用者が急激に増加し、そこから発信される情報が、商品プロモーションにも大きな影響をおよぼすようになってきた。これに伴い、ソーシャルメディアから商品単体の情報分析を行うだけでなく、問い合わせや売上、イベント情報といった関連情報も合わせて横断的に因果関係を分析し、戦略的な商品プロモーションにつなげていくニーズが高まっている。

 こうしたニーズに対応するため、株式会社NTTデータでは、同社のもつ自然言語処理エンジン「なずき」の自動分析をベースに、ブログやTwitterなどのWeb情報と各種社内情報の両方を総合的に分析可能としたSaaS型総合マーケティングリサーチサービス「なずきのおと」を4月から提供開始している。

 「当社は、企業内やインターネット上の日本語テキストデータを解析し、そこから有用な情報の抽出を支援する日本語解析製品として『なずき』を展開してきた。今回、『なずきのおと』の提供にあたっては、これまで培ってきたWeb情報や社内情報分析のノウハウを結集し、新たな日本語解析エンジンを開発した。これにより、ニュースやブログ、Twitterなどインターネット上の情報と、アンケートや営業日報といった社内データの一元的な情報収集・整理を実現し、商品・サービスに対する評判情報の分析を行うことが可能になった」と、NTTデータ 流通・サービス事業本部 メディア・エンターテインメント事業部 サービス企画担当 課長代理の佐藤勇一郎氏は説明する。

 「なずきのおと」の主な機能は、Web上のニュースやブログ、Twitterといったソーシャルメディアの情報を収集し分析・表示する「そとのおと」と、社内で管理しているアンケート・営業日報などをアップロードして分析・表示する「なかのおと」、そしてWeb情報と社内情報の統合分析を行う「プロジェクト」の3つに大きく分けられる。

 「そとのおと」「なかのおと」共通の基本機能として用意されるのが、リサーチサマリ画面。この画面から、検索対象として設定した単語を含む記事の概要を確認できる。記事に含まれるトピック、および評判情報(好評・不評・その他の3種類)を集計し、日次や週次の時系列グラフや件数順のランキング形式で表示される。

トピック分析

 また、新開発の日本語解析エンジンを生かした特徴的な機能として「評判分析」を提供。記事の内容から評判を分類する「ポジティブ・ネガティブ分析」や、喜び・悲しみ・疑問など人の感情で分類する「感情分析」、大きさ・高さ・重さ・価格など150種類以上の汎用的な評価軸で分類する「評価ポイント分析」を行うことができ、分析結果は時系列/件数順に表示される。さらに、急上昇/急下降ランキングとして、順位変動の大きい対象を上位5件ずつ表示することもできる。

評価分析

 「そとのおと」の固有機能としては、「Twitter分析」、「リリース掲載分析」を提供。「Twitter分析」では、検索キーワードを含むつぶやきをしたアカウントや、キーワードを含むつぶやきがリプライ/リツイートされたアカウント、キーワードを含むつぶやきに含まれるハッシュタグを時系列/件数順に表示できる。また、「リリース掲載分析」では、検索キーワードを含むメディア記事とその記事が引用されたブログ/Twitter数を集計し、時系列/件数順に表示できる。

 このほか、検索キーワードを含む記事を任意の内容で分類し表示する「グループ分析」、ポジ/ネガの対象をマップ表示し、その内容を時系列で推移させる動的表示の「タイムラインクラウド」、評判分析の内容を「対象-感情/評価対象-ポジ/ネガ」の順でツリー表示する「評判ツリーマップ」も備えている。

タイムラインクラウド評判ツリーマップ

 一方、「なかのおと」では、アンケートや営業日報など社内データの分析をサポートする固有機能として、属性項目の定性情報についてデータ件数のカウントを行う「属性項目別件数集計」、属性項目の数値情報について合計値の集計および平均値の計算を行う「属性項目別数値集計」といった機能を提供する。

項目別集計数値集計

プロジェクト機能で作成するオリジナルチャート

 そして、「そとのおと」「なかのおと」によって分析されたWeb/社内のリサーチ結果を統合的に分析できるのが「プロジェクト」機能だ。複数のグラフに含まれる情報を同一のグラフ上で表示し、相関性を分析することができる。NTTデータの佐藤氏は、「この機能を活用することで、たとえば、新商品をリリースした後のソーシャルメディアやネットメディアの記事掲載数と、自社ホームページへのアクセス数、さらにはコールセンターへの問い合わせ件数を重ね合わせて、その相関関係を探り、次のプロモーション展開に役立てることが可能になる」と、今まで以上に戦略的なマーケティングリサーチが実現できることを強調した。

 「なずきのおと」は、4月のサービス提供以来、広告代理店や企業の広報部門、メーカーの商品企画部門、コールセンター、コンサルティング会社、調査会社などを中心に30社弱に導入実績をもつという。その中でも、NTTグループで広告代理業を手掛ける株式会社NTTアドでは、実際に「なずきのおと」を業務で活用し、確実に成果を上げているという。

 NTTアド メディア局 メディアプランニング担当 担当部長の高松裕二氏は、「当社では、広告代理店業とともに、CGMの分析サービスを展開しているが、そのサービスで利用していたブログ解析ツールが昨年末にサービス終了となってしまった。そこで、新たな解析ツールを探していたところ、NTTデータの『なずきのおと』がサービス提供されると聞き、検証を行った。その結果、CGM分析サービスの解析ツールとして十分利用できるだけでなく、広告代理店業にも活用できる機能を備えていることから、本格的な導入を決めた」と、「なずきのおと」を採用した経緯を話す。

 NTTアドでは現在、「なずきのおと」を、CGM分析サービスに加え、広告代理店業におけるプロモーション展開にあたっての事前情報検索、およびプロモーション後の効果測定という、3つの用途で活用しているという。

 「なずきのおと」の導入メリットについて高松氏は、「Web関連のプロモーション展開に『なずきのおと』を活用することによって、広告代理店業のサービス向上につなげることができた。たとえば、プロモーション展開を行う商材について事前にWebでのマーケティング調査を行うことで、より的確なプロモーション企画をクライアントに提案できるようになった。さらに、プロモーション実施後も、ネット上での記事掲載実績やソーシャルメディアでの反響をグラフ化して、明確なプロモーション効果を示すことが可能となった」としている。

 CGM分析サービスに関しても、「ブログだけでなくTwitterの分析ができるようになったほか、今までよりも精度の高いポジティブ・ネガティブ分析を行うことが可能になった。また、検索キーワードを単語登録できる点も便利だ。従来は、商品名やサービス名に半角スペースが含まれていると、うまく検索ができなかったが、半角スペースも含めて1つの単語として登録しておくことで、より的確な検索を行うことができる」(高松氏)と、サービス内容の強化を実現しており、「『なずきのおと』をCGM分析サービスに活用するメリットは大きい」と述べている。

 同社では、「なずきのおと」の導入を機に、今後、CGM分析サービスのさらなる事業拡大を目指していく考えだ。

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