事例紹介

部門間の障壁を「Zoho CRM」で取り除き、経営加速へ~明和地所住宅流通

「仲介」「賃貸」「物販」の3部門で情報共有

仲介・賃貸・物販部門を個別最適化へ

 この状況が変わったのは、2013年に新しい社長が就任したときだ。「新社長がITに積極的だったこと、顧客・進捗管理のまずさを重要視してくれたことから、CRMの導入にGoサインが出ました」(木村氏)。

 選んだのはZoho CRM。理由は「費用対効果」と「柔軟なカスタマイズ性」だった。特に「自分たちでカスタマイズできることが大きかったです。弊社では新しい部署が急に立ち上がることもあり、そのたびに業者にカスタマイズを依頼していては費用も時間もかかってしまう」と木村氏。

 カスタマイズは主に入力項目やレポート形式に関するもので、木村氏が一人で行った。「ブログが書けるくらいのITスキルがあればできる」とのことで、現在はもう1人総務の社員にも修正などができるような体制を構築しているという。ただ、Zoho CRMの場合、ライセンスプランに応じて設定可能な項目数に制限があり、「項目数が足りなくなりそうになって、運用を少し工夫する必要がありました」と不足点も指摘している。

 導入は木村氏が当時所属する「仲介部門」からスタートした。営業マンによっては顧客を追い切れないといった事態が起きていた。その状況を共有できていないことが他からのサポートも不可能にしていた。Zoho CRMで顧客と進捗を可視化したことで、上司がレポートで問題をチェックできるようになった。

 入力が面倒くさいといった反発もあったというが、「『入力された進捗を人事評価の参考にする』としたところ、渋々入力してくれるようになりました」と木村氏は苦笑まじりに話す。ただ「入力し始めると、他の人の案件を見られて参考になると気づき、積極的に入力するようになりました。空いている時間にこまめにチェックするような習慣もできつつあります」という。

Zoho CRM画面例

 仲介部門でうまく流れはじめたのを見て、賃貸部門や物販部門にも導入が進んだ。賃貸部門では、案件ごとに営業マンが割り当てられて管理まで担当するのだが、その進捗状況が上司にも分からないのが問題だった。営業マンの手が回らなくなると、空いた部屋の新規募集やリフォームも滞るようになり、また、人が交代したときの引き継ぎにも問題が生じていた。

 これらの問題にはZoho CRMがピタッとはまった。「こういうのはCRMが得意とするところ。導入後はスムーズに回り、案件に停滞が起きても上司がすぐに気づいてフォローや指示が出せるようになり、トラブルも減っています」「引き継ぎも従来は1週間ぐらいかかっていたが、データが入力されていればそもそも不要、あっても1日あれば十分になりました」。

 仲介と賃貸では月に100~150件ほどの案件を新規登録して管理している。当初の目的通り、取りこぼしていた案件もZoho CRMで確認し、ほかの担当者に割り当てられるようになったという。

 一方、物販部門では顧客・進捗管理にとどまらず、Excel・Access・紙を行き来する複雑怪奇なフローを簡素化するのにも活用。親会社とのシステム面での連携体制も構築し、見積・請求書もZoho CRMから出力。さらに1度ファイルに落とすだけで経理システムとデータ連携できるようにした。これについては、ゾーホージャパンのサポートに相談しつつ、試行錯誤しながら作り上げた。

 「おかげで、物販部門の入力作業が3分の1ぐらいにまで減りました。ゾーホージャパンのサポートの方も、ここまでやっている例はほかにないのではと言ってましたね」(木村氏)。

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