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オプティム、IoT時代に最適化した新型OS「OPTiM Cloud IoT OS」を発表
直感的な操作でIoT端末の制御やデータ分析が可能に
(2016/3/31 12:06)
株式会社オプティムは、IoT端末とクラウドサービスを一つのサービスのようにシームレスに連携できる、IoT時代に最適化した新型OS「OPTiM Cloud IoT OS」を発表した。今年度夏頃に提供開始する予定。
「OPTiM Cloud IoT OS」は、直感的かつ安全なIoT端末の管理・制御、データの蓄積・分析、クラウドサービスとの連携を可能とし、あらゆるユーザーがIoTの価値を実感できる“新しいユーザー体験”を提供するという。
新製品の開発背景について、オプティム 代表取締役社長の菅谷俊二氏は、「IoTの普及によって、さまざまなモノがインターネットに接続される世界になりつつある。一方で、ベンダーがIoTのソリューションを提供するためには、多大な時間とコストをかけて、個別にシステム開発しなければならないのが実状だ。この状況は、コンピュータの変遷における、メインフレーム全盛期や、汎用OSが登場する前のPC黎明期によく似ており、このままではIoTが広く浸透し、実用化するのは難しい。そこで当社では、コンピュータの爆発的普及のきっかけとなったWindowsやMacなど汎用OSの設計概念に着目し、その思想を受け継ぐ形で、IoT時代に向けた新型OSの開発を目指した」と述べている。
「開発に当たっては、IoT時代のOSに求められるものを追求し、『オープン化』、『抽象化』、『直感的』、『“作る”から“使う”』の4つをコンセプトに掲げた。『オープン化』では、クラウド上のオープンなプラットフォームにより、様々なアプリケーションやハードウェアを動作できるようにする。また、『抽象化』では、IoT時代のあらゆる入力デバイス、出力デバイス、制御・演算・記憶デバイスに接続できるようにする。さらに、誰もが容易に操作できるよう『直感的』なインターフェイスを採用する。そして、『“作る”から“使う”』では、用途に応じてIoTデータを活用できるよう、IoT時代に必須となるアプリケーションを標準で提供する」(菅谷氏)と、開発コンセプトについて説明した。
具体的に、「OPTiM Cloud IoT OS」で標準提供されるアプリケーションは、「OPTiM IoT Explorer」(デバイス一覧・デバイスデータ一覧)、「OPTiM Insight」(データ分析)、「OPTiM SkySight」(地理空間情報マッピング)、「OPTiM Cloud Vision」(ネットワークカメラ映像解析)、「OPTiM Code」(統合開発環境)、「OPTiM Store」(IoTサービス・マーケットプレイス)の6つ。発表会では、各アプリケーションの特徴について、オプティムの谷口玄太氏がデモを交えて紹介した。
「『OPTiM IoT Explorer』は、接続しているIoT端末やデータを簡単かつ効率的に一覧できる機能を提供する。デバイスに対する操作を行うこともできる。『OPTiM Insight』は、IoT端末から取得された各種データを集計・分析し、可視化するサービス。『OPTiM SkySight』は、各IoT端末やセンサー群を地理的空間情報に紐付けて、閲覧・分析・操作することができる。『OPTiM Cloud Vision』は、ネットワークカメラの操作、ネットワークカメラの動画情報を閲覧・分析することが可能だ。『OPTiM Code』は、『OPTiM Cloud IoT OS』上で動作するアプリケーションを開発するための統合開発環境となる。『OPTiM Store』は、IoT端末やアプリなどの販売を行うマーケットプレイスで、購入してすぐ使い始められるよう、機器・アプリ・ストレージなどをすべて含んだサービスの販売も行うことができる」(谷口氏)という。
「OPTiM Cloud IoT OS」のユーザーインターフェイスには、現在広く普及しているデスクトップOS形式を採用し、馴染みのある画面で直感的な操作を行うことができる。IoT端末から取得した情報は、「OPTiM IoT Explorer」の画面から閲覧することが可能で、緊急を要する場合にはスマートフォンに通知する設定も行うことができるという。また、蓄積した機器の情報やカメラ映像など、さまざまな数値・映像データを「OPTiM Insight」で分析することができ、数値・映像データをビジュアル化して表現すれば、状況をひと目で把握できる。さらに、ウィジェットエンジンを標準搭載しており、デスクトップ上で必要かつ最新の情報を常に確認することも可能となっている。
また、「OPTiM Cloud IoT OS」に搭載されている人工知能(Artificial Intelligence)やビッグデータ分析エンジンを駆使することで、膨大な画像データや各IoT端末から取得したデータをあらゆる角度から分析できるという。オプティムの山本大祐氏は、「これによって、例えば、農業分野ではドローンを用いて品種ごとに異なる害虫を検知したり、土木分野では不要物を除去して正確な土量計算が可能になる。さらに、医療分野ではヘルスケアデバイスが取得したバイタルデータから病気リスクの予測や予防への活用、建築分野ではセンサーが取得したデータからビルの老朽化を予測したりなど、さまざまな産業で新たなアプローチを展開できる」としている。
セキュリティ面については、「企業が保有する情報は、すべてテナントと呼ばれる空間ごとに区切られて保存される。テナント内は、マルチアカウントに対応しており、組織階層、グループごとの細やかなアクセスしビリティを簡単に設定できる。また、あらゆるデータを同一の場所に保管し、複数のアプリでセキュアに共有することもできる」と、山本氏は説明する。
「さらに、オープンなプラットフォームとして、『OPTiM Cloud IoT OS』の統合開発環境と、システム連携・アプリケーション組込で活用できるAPIを公開していく」(山本氏)としており、マルチテナントな階層管理やアプリ管理などのコアロジックを担う「Core API」、リアルタイムなストリームデータおよび永続化されたストリームデータのI/Oを司る「Messaging/DatastoreAPI」、クラウド上でユーザープロセスを実行可能とするPaaSを担う「Runtime API/OPTiM Code」を公開する予定だ。
今後の「OPTiM Cloud IoT OS」のビジネス戦略について、オプティムの休坂健志氏は、「建設業を始め、医療、農業、教育、コスメ・ファッション、不動産、観光、住宅、出版、鉄道、金融などまで、様々な分野に活用を広げていく。そのためには、当社1社の力だけでは実現は難しいと考えている。ハードウェアメーカー、通信事業者、クラウド事業者、ソフトウェアデベロッパー、SI/販売パートナーなど、各分野のパートナー企業との協力によって、IoTで新たなビジネスを創造していく」との方針を示した。