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ネットワークを論理的に切り替えてマイナンバー制度対応、川口市がNFV導入

 川口市が、マイナンバー制度対応の統合仮想基盤を導入したと発表した。将来のネットワーク拡張・変更、マイナンバー制度導入にも柔軟に対応するため、仮想ルーター「Brocade Vyatta 5400 vRouter」を利用したNFV(Network Functions Virtualization)を実現する。構築を担当した伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)が26日、発表した

 川口市は、総務省の「地方公共団体におけるEA(Enterprise Architecture)策定に係る調査研究事業(以下、自治体EA事業)」に参加するなど、ICT分野における取り組みを積極的に展開している。2008年に運用を始めた共通基盤システムでは、各業務システムに対する情報の提供元となり、個々の業務システムをカセッタブル方式で構築・運用できるように設計されている。また、同氏はさまざまな情報系システムの仮想化にも取り組んでおり、 2014年に構築したサーバー仮想化基盤では、 LANとストレージトラフィックの集約、 さらにはネットワーク仮想化にも取り組んでいる。これらを足がかりとして今回、庁内のあらゆる業務システムを収容できる統合仮想化基盤の構築に着手した。

 統合仮想基盤を支えるネットワークの構築にあたり、 仮想アプライアンスとして提供されるNFVソリューションによって、 物理的なネットワークの代わりにさまざまな機能を追加する形態を検討。公募型プロポーザル方式による募集をかけ、2014年7月にCTCの提案を採用することに決定した。構築作業は8月から始まり、1カ月半後の10月にはサービスインした。

 新たな統合仮想基盤には、ネットワークセグメント間のルーティング、部分的なファイアウォールとして「Brocade Vyatta 5400 vRouter」を導入している。マイナンバー制度の運用が本格的に開始されると、基幹系、情報系、LGWANなどさまざまなネットワークセグメント間を適切に接続しなければならないというが、その際に新たにハードウェアを調達せずに、Brocade Vyatta vRouterの設定変更だけでネットワークを再構成できる。

 将来的には、同氏のネットワーク環境と外部のパブリッククラウドを連携させることも視野に入れており、その際の安全な通信環境の実現についても、「Brocade Vyatta 5400 vRouter」のVPN機能に期待を寄せている。

川島 弘之