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インフォテリアが海外展開を加速、「ASTERIA WARP」でIoT連携も視野に

平野洋一郎氏

 インフォテリア株式会社は14日、事業戦略説明会を開催。CEOの平野洋一郎氏が登壇し、IoT市場などを見据えた今後の事業方針を説明した。

 インフォテリアは1998年、XML事業で創業し、2006年にデータ連携ソフト「ASTERIA WARP」、2009年にモバイルコンテンツ管理(MCM)ソフト「Handbook」を出荷。創業から一貫して「つなぐ」に特化した製品群を手がけてきた。

 その事業は「ライセンス」「サービス」「サポート」の3つに区分され、「2014年3月期はライセンスが前年同期比で111.1%、サービスが122.1%、サポートが109.9%といずれにおいても創業来最高の売上高を達成」(平野氏)するなど、ビジネスは非常に順調。営業利益は168.6%増、粗利率も84.7%と驚くほどの高い数字を達成した。

「つなぐ」に特化した製品群
全3事業区分で増収、創業来最高の売上高
粗利率は驚きの84.7%

 主力製品である「ASTERIA WARP」は導入社数4360社となり、EAI/ESB市場シェア7年連続で1位を獲得。3月には最新版「ASTERIA WARP 4.8」の出荷を開始し、技術解説書「ASTERIA WARP 基礎と実践」も出版。

 今後の方針としては、これまでつないできた企業間・クラウド間のシステムに加え、IoTのデータ連携も見据え、「クラウドアプリ構築基盤」としての地位をさらに盤石なものにする。

 一方、MCMソフト「Handbook」も採用件数が650件に。3区分の中でも最も高い伸びを見せたサービス売上のほとんどを占めるに至った。MCM市場でのシェアも38.5%で2年連続1位に。「従来スマートデバイスが活用されてきた“オフィス”から、今後は“セールス”や工場や建設現場などの“フィールド”での活用もすすみ、すべてのワークシーンでデジタル化で進む」として、スマートデバイスの「管理」ではなく「活用」するためのMCMの今後の成長にも期待をのぞかせた。

 Handbookについては、アーリーアダプタの導入事例において、訪問件数1.5倍(レノボ)、訪問準備時間13.3分短縮(ポリプラスチックス)、成約率約2倍(日本トリム)、制約までの期間約1/3(野村證券)といった「数値効果」も出てきた。「これにより、他社の導入を様子見するアーリーマジョリティ層にもリーチできるようになる」(同氏)というのが自信の裏付けになっているようだ。

Handbookクラウド版は売上前年比122%、サービス売上のほとんどを占めるように
アーリーマジョリティ層への訴求を可能にする「他社数値効果」もまとまってきた

 今後の会社としての方針は「海外展開の強化」。現在、東京・カリフォルニア・上海・杭州・香港に子会社を構えるが、7月にはシンガポールにも子会社を設立。ASEAN市場のヘッドクォーターとする。東南アジアは2018年までの名目GDP平均成長率が7%と群を抜いており、インフォテリアにとっても重要な市場。その証拠として、シンガポール子会社の代表取締役社長・CEOに平野氏が就任することも明らかにされた。

 平野氏は「海外事業・技術に積極投資する。今回、8億円の資金を調達し、手持資金分の17億円と併せて、11億円を海外投資に回す。現在は日本と海外の売上比率は97:3という状況だが、海外売上を加速させ、2020年までに海外比率で過半数を目指す」(同氏)と語る。

 海外事業を加速させるにあたっては、元Ricoh Europe PLC会長兼CEO、元Ricoh Asia Pacific Pte. Ltd.社長の齋藤周三氏と、シリコンバレーに本社を置き、世界各地に拠点を持つベンチャーキャピタルCEOのAnis Uzzaman氏を社会取締役として招き、その知見・経験を生かすという。

7月にシンガポールに子会社。海外拠点は5カ所に
2020年までに海外売上比率を5割超に

 製品・技術的には、タブレットの企業導入を「新たな波」と捉え、この波に乗る「Middle×Front戦略」を加速させる。同社はデータ連携(つなぐ)製品として、データ連携・加工の「ASTERIA WARP」(Middle層)、データをタブレットに出力する「Handbook」(Front層)を提供しているが、IoTも含めたさまざまなシステムからデータを入力する「Gravity」も現在開発中だ。これらを主軸に「Backはインフラ屋に任せて、Middle・Frontを牛耳る」(平野氏)と、強気な姿勢をのぞかせた。

Middle、Front層を牛耳る「Midlle×Front戦略」
今回明らかにされた新情報

川島 弘之