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KDDI、SDNを活用した法人向け広域ネットワークサービスを発表

東海林崇氏

 KDDIは6月12日、法人向けの広域ネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch 2」(KDDI WVS 2)を9月末より提供開始すると発表した。7月末より受付を開始する。

 KDDI WVS 2は、複数のネットワークを仮想的に統合するネットワークサービス「KDDI Wide Area Virtual Switch」(KDDI WVS)をさらに拡張したもの。KDDI WVSは2009年より提供されており、順調に顧客数を伸ばしているという。今回新たに発表したKDDI WVS 2は、分散したさまざまな機能をソフトウェアにて統合し制御する、いわゆるSoftware-Defined Networking(SDN)の技術を活用したサービスだ。

 KDDI 執行役員常務 ソリューション事業本部長の東海林崇氏は、「クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルといった第3のプラットフォームが拡大しているが、ネットワークだけは十分な進化を遂げていない」と課題を提唱。「クラウドやスマートデバイスを活用してビジネスをスピードアップさせたい、運用負荷をかけずにセキュリティの不安を拭いたいといった顧客のニーズは明らかで、こうした要望に応えるためSDNを採用して広域ネットワークそのものにセキュリティの機能を持たせようと考えた」と、KDDI WVS 2を提供する背景を説明した。

KDDI WVS 2は、ネットワークにセキュリティ機能を搭載したサービスとなる
サービス提供のイメージ

 KDDI WVS 2の第1弾として、まずはアプライアンスで提供されている機能をネットワークに搭載するセキュリティクラウド機能を提供する。これまで拠点やシステムごとに分散していたセキュリティ機器をネットワーク上に集約して一元的に提供することで、セキュリティ対策を簡素化し、管理負荷を軽減するという。

 セキュリティクラウドには、宅内のファイアウォールを代行し、設備保守やバージョンアップ作業が不要となる「イントラネットファイアウォール」や、アンチウイルス、フィルタリング、UTM(統合脅威管理)、インターネットファイアウォールなどの機能を持つ「セキュリティアプライアンス」などのメニューを用意。管理機能を提供する「カスタマーコントローラ」にて、こうした機能のオン・オフを容易に切り替えることが可能なほか、帯域幅の設定も必要に応じて変更できるようになっている。

片岡浩一氏

 KDDI 商品統括本部長兼サービス企画本部長の片岡浩一氏は、KDDI WVS 2が提供できる顧客へのメリットについて、「これまでは新たな脆弱性が発生して急にIDS(不正侵入検知システム)やIPS(不正侵入防御システム)を導入すると決めても、見積から発注、論理設計、物理設計、構築と設定、そして導入まで約90日程度はかかっていた。それがKDDI WVS 2であれば、購入を決めてカスタマーコントローラで設定すれば、1日で利用が開始でき、セキュリティリスクに迅速に対応できる。また、これまでアプライアンス機器とラックスペース、インターネット回線・帯域など、個別に導入する必要があったものも、セキュリティクラウドで集約して導入でき、コストの最適化が実現する。さらには、モバイルポリシーもシステムごとに設定する必要はなくなり、一元管理できるようになる」と説明している。

 販売目標について東海林氏は、「いま国内のセキュリティアプライアンス市場は8000億円といわれているが、KDDIではその中で4~5年後をめどに約500億円の市場を獲得したい」としている。

 2015年春にはKDDI WVS 2の第2弾として、オーバーレイ機能による仮想ネットワークも追加する予定だという。片岡氏は、「ユーザーにSDNの良さを体感してもらい、今後第3弾、第4弾とサービスを進化させていきたい」と述べた。

カスタマーコントローラにて、機能のオン・オフ設定が可能
サービスの提供スケジュール

沙倉 芽生