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伝えるチカラを現場主導で強化――インフォテリア、大幅に機能強化した「Handbook 4」

インフォテリア CEO/CPOの平野洋一郎氏
MCMの概要

 インフォテリア株式会社はモバイル向けコンテンツ管理(MCM)ソフトの新版「Handbook 4」を発表した。9月25日より出荷する。併せて、ストレージ利用料を定額にするオプションサービス「ストレージフラット」を10月1日より販売すると発表した。

 Handbookは、モバイルコンテンツを管理・配信するプラットフォーム製品。さまざまなフォーマットの文書や電子カタログなどをクラウド上の「Handbook Studio」で制作・管理し、タブレット端末に適切に配信する。Web管理画面からユーザー・グループ管理やコンテンツ配信管理などを一元的に行い、閲覧者ごとの配信設定や端末紛失時の情報漏えい対策なども実現される。

 新版では、ユーザーのフィードバックを反映し、さまざまな新機能・機能強化を図った。アプリのアイコンを「シンプルで分かりやすい印象を与える」フラットデザインに変更。Handbook StudioのUIも分かりやすく、タブレットでの操作にも対応した。モバイル端末向けのUIも刷新し、Android 4.x系、iOS 7、Windows 8.1に最適化した。

アイコンをフラットデザインに変更
Handbook StudioのUIも分かりやすく、タブレットでの操作にも対応
PDF関連機能を大幅強化

 また、PDF関連機能を大幅強化。PDFに端末のカメラで撮影した写真、あるいは端末内の画像を張り付け可能に。例えば、保守作業員が現場の写真を撮り報告書に張り付ける。写真へのテキストメモやPDFへの手書きメモも可能なので、報告作業が驚くほど容易になる。ページが複数のコンテンツについては、「サムネイル・ページネータ」や「サムネイル一覧表示」に対応した。

 新たに「フィードバック機能」も搭載。配信ファイルへの評価や感想を現場から収集するためのもの。背景には、資料を作成する部門から「資料の利用状況や評判を分析したい。けど情報収集は大変」という声が、ファイルを利用する営業部門から「資料がたくさんあってどれを使えばいいか分からない」という声があった。解決策の1つとして、PFD/Officeファイルの「全文検索機能」を新たに搭載したが、「フィードバック機能」でさらにもう一歩踏み込んでいる。

 具体的には、コンテンツのセクションごとに★による五段階評価とコメントの付与が可能になった。例えば、資料を使う担当者が使いやすいと思った資料に★を付けるのもいいし、電子カタログを見せた顧客の反応・感想をメモってもいい。これにより現場の評価が簡単に把握できるようになるほか、営業担当者はほかの人の評価から有益な資料を見つけやすくなる。ノウハウの共有も進み、顧客への提案もより深化することだろう。

 「双方向MCM」――インフォテリア CEO/CPOの平野洋一郎氏は、同機能で目指したコンセプトをこう表現した。

フィードバック機能
双方向MCMを実現。「伝えるチカラを現場主導で強化」

 もう1つ、目玉となる新機能が、モバイル端末同士でコンテンツを受け渡しする「ブックドロップ機能」。背景には「見せてもらった電子カタログを持ち帰りたい」というエンドユーザーの声がある。しかし、電子データは情報漏えいを考えるとメールなどで迂闊には送れない。持ち帰ってもらう用に紙のカタログを用意するのも本末転倒だ。

 ブックドロップ機能では、アカウントの有無にかかわらず、別のモバイル端末にその場でコンテンツを渡せる。利用は簡単。コンテンツを渡す方が、サーバー上にコードを知る人だけが入室できる「ルーム」を作り、その中の机の上にコンテンツを置くだけだ。受け取る方は自身の端末に無料の「Handbook」アプリをインストール。ログイン不要で「ルーム」に入室し、コンテンツをダウンロードできる。コンテンツに営業担当者の名刺情報を添付することが可能。閲覧期限を設けることも可能なため、情報統制も保てるのが特長だ。

ブックドロップ機能
双方向MCMを実現。「伝えるチカラを現場主導で強化」
受け渡しするコンテンツに名刺情報(連絡先)を添付

 同機能は、Handbookユーザーのハイアットリージェンシー東京にも好評のようだ。同社ではブライダル事業で電子カタログを活用。会場の雰囲気や内装、さらには演出などをリアルに伝えるため、Handbookで動画に加えて上下左右すべての角度の映像をシームレスに見られるインタラクティブなコンテンツを用意している。新郎新婦はそれを持ち帰って両親にも見せたいと思うのが人情。「そういう要望をいただくのですが、電子カタログの中には競合他社に知られたくない情報もあり、メールなどでの転送可能な形での提供は躊躇していました。情報統制を保ちながらインタラクティブなコンテンツを手渡しできる同機能には非常に注目しており、販促に大きな期待も持っています」(総務部情報システム支配人の井上義孝氏)。

 新版ではこのほか、「Web API刷新(編集者権限での利用に対応)」「Officeファイルの自動表示変換(表示再現性の向上)」「編集者操作ログの取得」「アンケートセクション(アンケートをよりスムーズに)」といった新機能・機能強化を盛り込んでいる。

ストレージ料金を定額にする「ストレージフラット」

 併せて、ストレージ料金を定額にする「ストレージフラットオプション」を提供する。今まで従量課金だったストレージを定額に利用できるもの。

 Handbookには「Standard」と「Premium」の2プランがあるが、オプション契約することで「Standard」ユーザーは月額3万円あるいは年額30万円の定額で5GBまでストレージを利用できる。「Premium」ユーザーは月額6万円あるいは年額60万円の定額で20GBまで利用できる。「Premium」の場合は、当初20GBだが、申請により追加料金なく利用容量追加を可能にするとしている。従来の従量制と比べると圧倒的に価格を抑えることが可能だ。

従来の料金
ストレージフラットの内容

「Handbook教え隊」で普及とユーザー定着へ

Premiumユーザー向け利用定着支援サービス

 インフォテリアでは、1)タブレット検討初期の顧客、2)Handbook導入を検討している顧客、3)導入済みの顧客、それぞれに施策を展開。1)に対しては、タブレットソリューションホワイトペーパーやそれと連動するテーマのセミナーを開催して、タブレットの魅力を訴求する。2)に対しては、製品紹介動画、事例紹介ウェビナー、ハンズオンセミナーなどで製品の魅力を訴求。3)に対しては、Handbook徹底活用講座、トレーニング、ならびに「Handbook教え隊」によるサポートを提供する。

 「Handbook教え隊」はPremiumユーザー向け利用定着支援サービスで、「Handbook教え隊」スタッフが、スタートアップトレーニング、電話問い合わせ、定期フォローなどによってさらなる利用促進を図るほか、最近あまり利用していないユーザーの相談などに乗るという。

 2013年度上期まではこれら「Handbook徹底活用講座」「Handbookトレーニング」「Handbook教え隊 訪問トレーニングサービス」などに取り組んできたが、下期はさらに注力。「Handbook教え隊」による既存ユーザー専任担当を設置し、「教え隊がお客さまへ電話/訪問し、やさしくお困りのことや利用状況についてヒアリングする」としている。

川島 弘之