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ストラトスフィア、「OmniSpere」正式リリース~SDNでオフィスLANを仮想化
~スイッチなど対応ネットワーク機器開発ではアライドテレシスと提携
(2013/9/12 14:47)
株式会社ストラトスフィア(以下、ストラトスフィア)は11日、SDNの最新動向と同社の取り組みに関する記者説明会を開催した。
同社の代表取締役社長の浅羽 登志也氏は、同社の目的を「NaaSの実現」だとした。同社の言うNaaS(Network as a Service)とは、「いつでもどこでも、利用したいネットワーク機能を、ソフトウェアからオンデマンドでプロビジョニング可能なネットワークサービス基盤」であり、SDN(Software Defined Network)は「NaaSを実現するプラットフォーム」と位置づけられる。
その上で浅羽氏は、直近の活動目標について「まずネットワークのリーチを広げる」ことに置き、現状はデータセンター環境に特化している感のあるSDNソリューションをワイヤレスネットワークやオフィス内LANなどに拡大していくことに取り組むという方針を示した。
ストラトスフィアの主力製品となる“Stratosphere SDN Platform”(SSP)に次ぐ第2の製品としてリリースされた“OmniSphere”は、無線LANを含む企業内LANの柔軟な運用管理を実現するもので、まさに「SDNの適用範囲を拡大する」目的にかなった製品となっている。なお、OmniSphereは今年6月に開催されたInterop Tokyo 2013に参考出品された製品で、9月11日付けでver.1.0.0として正式リリースとなったもの。
当日はデモも公開され、同一の端末から同一の無線LANアクセスポイントに接続しつつ、ユーザー認証の情報に基づいてフローを制御することで異なるネットワークに接続するといった基本的な動作の様子が実演された。
また、ストラトスフィア取締役副社長の石黒邦宏氏は、「SDN最新動向」と題してSDNの現状について包括的な説明を行った。同氏によれば、昨年はデータセンターでの活用が始まり、今年はキャリア等でもSDNが使われるようになった状況で、来年以降はさらに無線LANや企業内LANでの活用が広がると見込まれるという。
また石黒氏は、質問に答える形でSDNの普及ペースの予測についても言及した。現在はちょうどインターフェイスの1Gbpsから10Gbpsへの移行期と重なっており、これから10Gbps対応スイッチ等を導入する場合にOpenFlow未対応の機種を選定するとはちょっと考えにくい、ということから、データセンターのトップオブラックスイッチでは今後3年以内、アグリゲーションスイッチ/コアスイッチでも5年以内にはOpenFlow対応(≒SDN対応)環境の整備が完了すると予測できるという。
このほか、石黒氏はSDN関連のオープンソースの動向についても説明を行った。現状、SDN関連で最も注目を集めているオープンソースプロジェクトはOpenFlowコントローラ“Open Daylight”だが、着実に進化を遂げており、今後デファクトスタンダードの地位を獲得することになりそうだ。また、クラウドOSである“OpenStack”も広く支持されており、SDN環境のNorthbound APIのデファクトになると見込まれる。この両者で上位のソフトウェアレイヤはほぼ固まった状況だと言っても過言ではないかもしれない。
一方、Open Daylightの登場によってすっかり影が薄くなってしまったFloodlightの開発元であるBigSwitchは、新たにネットワーク機器のコントローラチップのレベルでのインテグレーションまでを視野に入れた新プロジェクト“Indigo”に着手しており、こちらの動向にも注目されるという。
大局的に見れば、SDNはデータセンターでの局所的なソリューションにとどまらず、キャリアのWANから企業内LANまで、あらゆるネットワークを変革しつつあるようだ。ストラトスフィアはこうした動向を踏まえ、同社が掲げる“NaaSの実現”に向けて既存のIPネットワークとSDNを接続するためにSDNとBGPを相互接続するためのゲートウェイの開発からOmniSphereの製品化まで、広範な基盤技術開発に取り組んでいる。
また、ハードウェアとの連携の進展もポイントで、同じく9月11日付で発表されたアライドテレシスとの技術協力では、OmniSphere対応のオフィス向けの無線LANアクセスポイントの製品化を目指すという。浅羽氏は「何らかの影響がある、というレベルで見れば既存のネットワークはいずれすべてSDN化されると言って良いだろう」と語っているが、それも十分根拠のある予測だと思われる。