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分析専用マシン最新版「Oracle Exalytics X3-4」、ハードウェアやモバイル対応を強化

専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏

 日本オラクル株式会社は20日、分析専用マシンの最新版「Oracle Exalytics In-Memory Machine X3-4(Exalytics X3-4)」の提供を開始した。

 Exalytics X3-4は、分析ダッシュボードの表示を高速化し、迅速・的確な意思決定を支援する。ビッグデータ基盤やデータベースサーバーに蓄積された構造化・非構造化データを対象に情報探索、分析、レポーティングなどを単一の基盤上で実行できるエンジニアド・システムだ。

ソフトウェア面の強化

 最新版では、ハードウェア・ソフトウェア両面で強化された。ソフトウェアの強化は多岐にわたる。「情報の有効活用のためには、情報をさまざまなシーンで活用できなければならない。そこでポイントとなるのが爆発的に普及しているモバイルだ」と専務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏がいうように、同社のBI戦略ではモバイルが重要視されている。

 最新版でもモバイル機能の拡張。セキュリティを強化し、端末上でのデータキャッシュ保存の制約や端末からアクセス可能なデータをユーザー権限に応じて柔軟に設定できるようにした。モバイル向けのダッシュボードやレポートは、「Oracle Business Intelligence 11g」で作成したWindows向けの画面をそのまま利用でき、モバイル専用に開発する必要がない。また開発は1度で複数のクライアント、デバイスで利用できるのも特長だ。

モバイル機能の強化
セキュリティも向上
管理容易性

 新たに最適なグラフや可視化手法を提案する「ビューの推奨」をはじめ、「トレリスグラフ」「ウォーターフォール」「パフォーマンススタイル」「ロケーション・インテリジェンス」などグラフ機能を強化。データ活用の知見がなくても、誰もが容易な操作で高度な分析ができる「ユーザー志向」を強めた。地図上にデータを表現するのも、非常に簡単な操作で行えるとアピールしている。

 Exalytics X3-4では、同社のさまざまな他製品を稼働させることができる。例えば全社情報基盤「BI Foundation Suite」、インメモリデータベース「TimesTen for Exalytics」、予算・計画の「Hyperion Planning」、多次元分析データベース「Essbase」、構造化・非構造化データを利用した情報探索「Endeca Information Discovery」などだ。

 最新版ではこれらのうちBI製品「Oracle Business Intelligence Suite Enterprise Edition(Oracle BI EE)」、TimesTen、Essbaseにおいて機能を拡充。Oracle BI EEでは、分析やレポートがMicrosoft Officeで実行できる「Smart View」をサポートすることで、容易な操作性を実現した。TimesTenでは、Exalyticsの性能と拡張性を向上する機能が強化され、検索性能の向上と「Oracle Database」からのデータ取込が容易になった。Essbaseではパフォーマンスの向上とOracle BI EEとの連携強化が図られた。

ハードウェア面の強化

ハードウェアスペック

 一方、ハードウェアの強化としては、「TimesTen」が活用するメモリ搭載量を従来の1TBから2TBに増強。2.4TBのフラッシュメモリも新規に搭載し、Essbaseへのデータロードや計算速度を大幅に向上した。HDD領域も従来の3.6TBから5.4TBに拡大している。

 価格は、旧モデル(1TBメモリ、3.6TB HDD、フラッシュメモリなし)が13万5000ドルだったのに対し、新モデル(2TBメモリ、5.4TB HDD、2.4TBフラッシュメモリ)で17万5000ドル。性能アップとともに値段も若干上がっている。

日立Solが関連サービスを発表

 Exalytics X3-4に対しては、NTTデータ、TIS、NEC、NRI、富士通など多くのパートナーが賛同している。その中で日立ソリューションズ(以下、日立Sol)がオラクルの発表に併せて、新サービスとしてExalytics関連ソリューションを10月1日より提供すると発表した。同ソリューションは、Exalyticsの実機検証など、ビッグデータ活用のニーズに対応したExalyticsの最適な導入から運用までをワンストップサービスにて支援するもの。

 日立Solは、1993年にオラクルと販売代理店契約を締結以来、オラクル製品の技術者育成に努め、これまでも数多くのシステム導入実績を積み重ねてきた。今回の新サービスでは、専任エンジニアが行うヒアリングに基づいて実施するPoC(実機検証)、環境および運用設計など、Exalyticsの最適な導入と運用を支援する。

 また、同社は高速データベース基盤「Oracle Exadata」関連ソリューションも提供しており、ExalyticsとExadataを接続し、より高速なデータ分析を目指した検証も実現する。

川島 弘之