オラクル、ビッグデータ分析ソリューションを提供開始~構造化データも非構造化データも容易に分析


三澤智光氏

 日本オラクルは9月11日、ビッグデータアナリティクスの新製品「Oracle Endeca Information Discovery(以下、Endeca)」の提供を開始した。2011年10月に買収したEndeca社の「Latitude」をベースとした、社内外のさまざまなデータソースからの検索/分析を可能にするソフトウェアで、すでにグローバルで多くの導入実績を誇る。日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括 三澤智光氏は「Encdcaはドイツ語の"発見(entdecken)"から派生した名前。構造化データも非構造化データも横断して、競合他社とは異なる高い精度の分析を行い、新たな"発見"で迅速な意思決定を支援する」と語り、構造化/非構造化データを組み合わせた環境での分析能力の高さを強調する。

 Endecaが最大の特徴と謳う「構造化データと非構造化データを容易な組み合わせて分析」するしくみは、社内外に存在する多様なデータをインテグレータで統合したのち、コア部分でモデル化を図ることで、ハイブリッドな複合型の検査/分析を可能にしている。昨今では、非構造化データ分析=ソーシャルメディア分析とする向きが強いが、日本オラクル EPM/BI事業統括本部 EPM/BIソリューション本部 ビジネス推進部 シニアマネジャー 福岡浩二氏は「ソーシャルは非構造化データのone of themでしかなく、ましてやビッグデータ全体でもない。Endecaは、ソーシャルデータはもちろん、RDBMSデータや社内文書、Webログなども含めたさまざまな形態のデータを、Endeca独自のレコード形式で同じように保持することで、データマート設計の負荷も軽減し、多様なデータ間をまたがった検索/分析を可能にしている」と語る。

 Endeca独自のレコード形式とは、各レコードごとデータとスキーマをセットで保持した"同心円状"のコンセプトイメージで、データの種類によらず、この形式でEndeca内に格納/表現される。スター型にデータをもつことで事前のスキーマ設計を必要とせず、新しいデータをいつでも追加できるため、パフォーマンスの面でも優位性をもつ。

Big Data Solutionを支える統合基盤Endecaとは
画面例

 また、EndecaはもともとECサイトをコンシューマ向けに提供するツールをベースにしているため、エンドユーザが直感的に操作できるインタフェースも特徴だ。得られた検索結果をさらに精度の高いものにするために、検索条件に紐付く検索データを表示するファセットブラウジングの機能も備えるなど、多面的なナビゲーションでダイナミックな情報探索を可能にしている。「いままでのBIは、何らかの仮説をもって情報を得ようとする人を対象にしていたので、全社レベルで浸透するのが難しかった。どんな社員にも情報は必要で、BIは活用できるはず。なんとなくあいまいに使っているうちに、あらたな情報が見えてきた、という使い方がEndecaでは可能」と福岡氏。使いやすいインタフェースと、情報へのたどり着きやすさで、誰もが使えるアナリティクス製品となっていることを強調する。また、これまでのBIとは対立するものではなく、「相互補完的な使い方をするのに向いている」(福岡氏)と語る。

 Endecaは単体ソフトウェアとしてだけでなく、オラクルのBIアプライアンス「Oracle Exalytics」上での動作もサポートされている。三澤氏は「Exalyticsでサポートすることにより、従来のEndecaでは実現しなかったスピードを提供できる」と語り、さらに「Oracle Exadata」「Oracle Big Data Appliance」と組み合わせることで、統合的な分析ソリューションを構築できるとしている。

 Endecaの日本での展開においてボトルネックとなるのが「辞書の問題」だと三澤氏。「この部分に関しては国内のすぐれたパートナーの力を借り、より進化したビッグデータソリューションを届けたい」と語り、すでに野村総研とSCSKがそれぞれのテキストマイニングソリューションで、Endecaのサービス支援を行うことを表明している。

 「正直、日本のBI市場はまだまだ立ち上がっていない状態で、BIはレポーティングツールの域を出ていない。非構造化データの分析なんて、ほとんどの企業ではまだ遠い先の話のように見えるが、一方ですでに膨大なデータ分析に取り組んでいる企業もある。Endecaがこのギャップを埋めるきっかけになれれば」と三澤氏。日本オラクルはEndecaの専門部隊を設立し、青山の本社にはデモ環境を設置する。ビッグデータ分析の先進的取り組み事例を国内でも増やすため、Endecaのプロモーションに注力するとしている。

 参考価格は最小構成1CPU/25ユーザで900万円から。

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(五味 明子)
2012/9/12 10:32