日本オラクル、高速分析専用マシン「Exalytics」のソフトウェア機能を強化


Oracle Exalytics In-Memory Machineの特徴

 日本オラクル株式会社は30日、高速分析専用のエンジニアド・システム「Oracle Exalytics In-Memory Machine」(以下、Exalytics)において、搭載するソフトウェアの最新版を提供すると発表した。

 「Exalytics」は、インメモリ型のビジネスインテリジェンス(BI)ソフトウェアとハードウェアを最適化した高速分析専用マシン。データベースマシン「Exadata」、クラウド構築基盤システム「Exalogic」に続くエンジニアド・システムの第3弾として、2012年2月から提供されている。

 具体的なソフトウェア技術としては、オラクルの自社のBIソフトウェア「Oracle Business Intelligence(BI)」、インメモリデータベース「Oracle Times Ten In-Memory Database」(以下、Times Ten)、多次元データベース「Oracle Essbase」などを利用している。

 今回の新ソフトウェアではまず、Times Tenとデータ統合技術製品「Oracle GoldenGate」が連携したことで、データソースや基幹システムのデータベースとのリアルタイムな連携が可能になった。これにより、複数かつ異種のデータベースを対象に分析する場合でも、データの収集、複製、更新といった作業をよりリアルタイムに行えるようになっている。


Times TenとGoldenGateが連携

 また、非構造化データの分析が可能な「Oracle Endeca Information Discovery」が「Oracle Exalytics」用ソフトとして認定されたことで、従来のBI機能では対応が難しかった、ソーシャルメディア、社内文書、顧客のフィードバックなどの非構造化情報を容易に検索し、解決策の発見につなげられるとのこと。

 さらに、計画策定、予算管理、予測管理などを行う財務計画アプリケーション「Oracle Hyperion Planning」もExalytics用のソフトウェアとして最適化されたため、Exalytics上でHyperion Planningを動作させることができる。これにより、分析対象を従来の財務データに加えて業務データまでの分析が可能になり、より粒度の細かい業務計画ならびに複雑な分析処理の高速化が可能になるとしている。


Endecaを搭載し非構造化データの高速処理に対応Hyperion Planningを搭載可能に

 このほか、iPhone/iPadに対応したBIアプリケーション「Oracle BI Mobile」のユーザー画面を改善し、ヒートマップやウォーターフォールチャートなど、表示できるグラフの種類が拡充されたことで、より直感的に分析結果を把握可能になったとのこと。

 なお、Exalyticsはエンジニアド・システムの中でもっとも早い立ち上がりを示しているとのことだが、日本オラクルでは、販売をより拡大するために、新ライセンス形態も採用している。このライセンスでは、CPUライセンス単価を従来の2/3に下げたほか、Oracle VMの技術を活用し、10コア単位での購入に対応。

 「10コアから使い始め、ビジネスの拡張に応じて段階的に拡張したり、10コアはBIで、10コアはEndecaで、20コアはHyperion Planningで、といったように分割して使ったりすることもできる」(日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括の三澤智光氏)という。


新ライセンスによって柔軟な利用が可能に日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括の三澤智光氏

 また三澤氏はExalyticsを訴求していく分野として、1)情報活用基盤の全体最適化、2)EndecaやHyperion Planningなど既存のインストールベースへのアプローチ、の大きく2つを挙げた。

 1)では、Exadataによってデータベース部分(データベース検索やデータ集計/マイニングなど)の処理時間短縮できるのみならず、Exalyticsによって、データ集計や画面描写などのBIサーバー部分の処理時間を短縮し、劇的な高速化を提供できると主張している。

 三澤氏は、「BI全体のワークロードでデータベースが遅い場合はExadataを入れれば解決するが、BI全体で考えるとそこだけが速くなれば解決するわけではない。トータルにかかる時間を改善することで速い気づきが生まれることになるが、当社はそれを提供できる唯一のメーカーだ」と述べ、Exalyticsに相当する製品を持たない競合各社では、同じようなソリューションは提供できないという点を強調した。


データベース処理時間が全体の6割を占めるパターン2であれば、Exadataで十分高速化の恩恵が得られるかもしれないが、BIサーバー部分が7割を占めるパターン1では、大した効果は得られない。しかしExalyticsをあわせて導入した場合、相当な高速化を果たせるという

 一方2)は、今回の新ソフトの強化点であるEndecaやHyperion Planningへの対応を踏まえた戦略で、「(Oracle Essbaseを利用した)OLAPそのものをすべてインメモリに格納できるので、高度なプランニングソリューションを利用可能だ。これが、製品の大きな差別化につながっていく」(三澤氏)とのこと。

 「日本のお客さまはまだBIをきちんと使われておらず、小規模な利用にとどまっているのが現実だが、そうした中でも、グローバル対応が求められているし、1000人以上に対して分析結果のダッシュボードを返したい、というニーズも生まれてきた。また、よりリアルタイムなデータを参照したいというニーズもいただくようになっている。これまでは、リアルタイムな在庫の数をBIで見るなんていうのは考えられなかったことだが、Exalyticsなら、ダッシュボードを同時多数のユーザーに提供することが可能になっている。これは大きな変化だ」(三澤氏)。

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