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日本HP、シンクライアントの画面転送品質を改善する「HP Velocity」を強化

 日本HPは3日、HPシンクライアント製品の画面転送品質を改善するソフト「HP Velocity」を機能拡張すると発表した。レイテンシの高いネットワークにおけるシンクライアント利用を可能にする。併せて、ユニファイドコミュニケーション(UC)プラットフォーム「Microsoft Lync」に正式対応し、シンクライアントの適用分野を広げる。これらの機能は、7月より出荷するシンクライアントに標準搭載される。

 導入が進むクライアント仮想化、UC、無線LANはいずれもネットワークの状態によって、そのユーザーエクスペリエンスが左右され、特にレイテンシの影響を大きく受ける。「例えば、3G/4G回線ではレイテンシは200ms、国をまたぐ企業ネットワークでは60ms、大陸をまたぐ企業ネットワークでは250msにもおよぶ。クライアント仮想化環境では、レイテンシが30ms以上になると動画再生不能に陥ってしまう。特に企業のグローバル化が進む昨今は、この問題がクライアント仮想化の障壁となっている」(プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏)。

 そこでHP Velocityでは、パケットロスや輻輳(ふくそう)の増減など、ネットワークの状態変化に応じて動的にTCPフローを最適化することで、スループットを向上させる新機能を搭載。これにより、マイクロソフトのRDPでは最大10倍、シトリックスのICAでは2倍以上のスループット改善を実現した。

 デスクトップ仮想環境においてはUCも難題となる。動画や音声の通信はVDIホストサーバーを経由することになり、複数のユーザーのデスクトップ環境が集約される同環境では、VDIホストサーバーが過負荷に陥りがちだからだ。これを解決するため、HPシンクライアントでは、UCメディア処理をシンクライアント側にオフロード機能を搭載。この動画・音声などのメディア通信を端末間(Peer to Peer接続)で行う新アーキテクチャにより、この難題を解決した。

 これに伴い、HPシンクライアントは、Microsoft Lync 2013/2010に正式対応。「Microsoft Lync 2013 Plug-in」、およびCitirx環境で利用可能な「Citrix HDX RealTime Optimization Pack for Microsoft Lync」をサポートした。なおシンクライアント側でメディア処理をする負荷が高まるため、処理性能の高い最新のHPシンクライアントがサポート対象となる。

川島 弘之