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震災とクラウドの影響でデータセンター新設投資が増加傾向~IDC予測

年間平均3.4%の成長で2017年には2552億円に

国内データセンター建設市場 投資額予測:2010年~2017年(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は16日、国内データセンター新設投資予測を発表した。これによると2012年のデータセンター新設投資は前年比11.5%増の2157億円となった。東日本大震災後に情報システムの災害対策強化のため、データセンターを利用する動きが活発化しているためという。

 今回の調査対象には、クラウド事業者などITベンダーのデータセンター(事業者データセンター)と、金融機関や製造業など一般企業のデータセンター(企業内データセンター)が含まれているが、新規投資を急増させたのは事業者データセンターの方。2012年の事業者データセンター新設投資は前年比15.5%増の1313億円に達した。累積延床面積も2012年の1年間で9.6%増加し170.5万平方メートルに達したと推定する。

 これは金融機関や製造業/流通業などの企業で、企業内データセンターを新設するよりも、設備やサービスの優れた事業者データセンターに運用をアウトソーシングする傾向が強まっているため。また、クラウドサービスの利用拡大も要因となっている。

 一方、企業内データセンターでは、一部の大手金融機関/製造業などでデータセンター新設投資が増えているが、アウトソーシングやクラウドサービスの利用へ移行する傾向が強いため、事業者データセンターの投資と比べると拡大は遅い傾向にある。2012年の新規投資は是年比5.8%増の844億円にとどまった。

 国内データセンター新規投資(事業者・企業内データセンターの合計)は今後も増加傾向となり、2012年~2017年の年間平均成長率は3.4%で推移し、2017年の投資額は2552億円に達すると予測する。このうち、事業者データセンターの新規投資拡大が顕著で、2012年~2017年の年間平均成長率は4.4%で推移すると見ている。

(川島 弘之)